2025年9月19日
介護施設では、入居者の徘徊や離設は大きなリスクのひとつです。
夜間や職員の少ない時間帯に施設外へ出てしまうと、事故や行方不明などにつながりかねません。
しかし「常に目を離さない」ことは難しく、職員の精神的負担や長時間労働の原因にもなっています。
そこで重要になるのが、現場の負担を増やさずに安全を確保する離設防止対策です。
この記事では、介護施設で実践できる徘徊・離設防止の方法や、負担を減らしながら安全性を高めるためのポイントを解説します。
目次
介護施設では、認知症の入居者を中心に「施設外に出てしまう」「居室からいなくなる」といった徘徊・離設が日常的に発生します。
これは一歩間違えれば重大事故につながるため、施設としては最も注意を要するリスクのひとつです。
徘徊や離設は、次のような事故やトラブルを引き起こすことがあります。
・転倒・骨折などのケガ
深夜に外に出て転倒し、骨折してしまう事例は少なくありません。
・交通事故や行方不明
施設外に出てしまい、発見までに数時間かかるケースも。冬場は低体温症の危険もあります。
・家族とのトラブル
「なぜ見守っていなかったのか」とクレームになることもあり、施設への信頼低下につながります。
・行政報告・監査対応が必要になるケース
重大事故として報告義務が発生し、対応に追われることになります。
このような事故が起きると、入居者や家族にとって大きな不安要因となるだけでなく、施設にとっても大きな reputational risk(信用リスク)になります。
徘徊や離設のリスクは、現場職員の負担も増大させます。
・常に目を離せない緊張感
「次に誰が出て行ってしまうかもしれない」という不安で精神的に疲弊します。
・夜勤者の負担増
巡回回数が増え、休憩が取れない。夜勤明けの疲労が蓄積しやすいです。
・残業・人員配置の問題
離設対応のため残業が発生する、応援スタッフを呼ばなければならないなどコストも増加。
・職員の離職リスク
こうした負担が続くと、職員のモチベーション低下や離職につながる可能性もあります。
つまり、徘徊・離設の問題は入居者の安全だけでなく、職員の働きやすさ・施設運営全体に影響する重要課題なのです。
介護施設では、徘徊・離設防止のために長年さまざまな方法が取られてきました。
しかし、多くは人手に依存しており、現場の負担が大きくなるという課題があります。
従来の主な対策は「職員がこまめに見守る」ことでした。
・夜間巡回の頻度を増やす
・要注意入居者を重点的にチェックする
・出入口付近に職員を配置する
といった方法は一定の効果がありますが、次のような限界があります。
・巡回のタイミング以外に離設が起きると気づけない
・職員が対応中で手が離せないと、発見が遅れる
・巡回を増やすと職員の疲労やストレスが増える
つまり、人手だけでの対応は「24時間常に見守る」ことが難しく、完全に防ぐことは現実的に不可能といえます。
特に問題が深刻化しやすいのが夜勤帯です。
・夜勤は少人数体制
施設規模によっては、夜間に数十名の入居者を2〜3人で見守るケースもあります。
・休憩時間が取れない
巡回や対応に追われ、仮眠時間が削られることで慢性的な疲労に。
・突発的な離設対応で残業が発生
家族や警察への連絡、記録作成などでシフト外の業務が増えることも。
こうした負担は、職員のメンタルヘルスや離職リスクにも直結します。
人手不足がさらに深刻になり、結果として施設全体の安全管理が難しくなる悪循環に陥ることもあります。
徘徊や離設の防止には、職員の努力だけでなく、施設の環境や仕組みを整えることが重要です。ここでは現場の負担を軽減しながら、安全性を高めるための対策を紹介します。
物理的な環境整備は、最も基本的かつ効果的な対策のひとつです。
・出入口に鍵付きドアを設置し、職員だけが開閉できるようにする
・居室やトイレへの案内表示をわかりやすくし、利用者が迷わないようにする
・安全な徘徊スペースを確保し、利用者が安心して歩けるようにする
こうした環境づくりは、徘徊や離設の発生そのものを減らす効果が期待できます。
離設防止には、職員同士が連携をしてチェック体制を整えましょう。
・日々の申し送りや記録で、徘徊傾向のある利用者を共有
・チェックリストを活用し、見回り漏れを防ぐ
・夜勤時は少人数でも確認できる体制を作る
情報共有が徹底されることで、徘徊・離設リスクの高い時間帯にも迅速な対応が可能になります。
近年では、テクノロジーを活用した見守りが急速に広がっています。
VALTECのAIセキュリティシステムは、入居者の安全を守りながら、職員の業務負担を大幅に軽減します。
1.AIカメラとスマホ連動で即通知
室内での転倒や、特定の入居者が出入口に近づいた際など、顔認識で徘徊を検知すると、スマホに着信通知。
職員が巡回していなくても、異常をすぐに把握できます。
2.入居者ごとにアラートを設定可能
顔認証で個人を識別し、危険行動があった場合のみ通知。不要なアラートが減り、対応が効率的になります。
3.インカム機能でリアルタイムに情報共有
発報時には職員間で即座に情報を共有でき、迅速な初動対応が可能になります。
これらの機能を組み合わせることで、職員が常に見張る必要がなくなり、夜勤帯や少人数シフトでも安全を確保できます。
さらに、トラブル発生時の記録や報告書作成にも役立ち、現場全体の負担を大幅に軽減します。
「スタッフの目が届かない時でも、大切な入居者を守れる」そんな安心感が、職員にもご家族にも大きな支えになります。
介護施設での徘徊・離設は、利用者の命に関わる重大なリスクであり、現場の職員にとっても大きな負担です。
しかし、環境整備・情報共有・最新技術の活用を組み合わせることで、事故を防ぎながら職員の負担を減らすことができます。
・鍵付きドアや案内表示などの環境整備で迷いやすさを減らす
・職員間の情報共有やチェック体制で見守り漏れを防ぐ
・AIカメラや人感センサーで巡回を自動化し、異常時のみ通知
これらの対策を組み合わせることで、職員の心理的・肉体的負担を軽減し、夜勤帯や少人数シフトでも安心できる体制が整います。
「スタッフの目が届かない時間でも、入居者を守れる」
そんな安心感が、職員の働きやすさを高め、ご家族にも信頼される施設づくりにつながります。
徘徊・離設対策は、利用者の安全だけでなく、職員の離職防止や施設全体のサービス品質向上にも直結します。
まだ導入していない施設は、ぜひ一度見守り機器やICTツールの活用を検討してみてください。