2023年2月3日
「労務管理」とは、従業員にかかわる職場環境を管理する業務です。
従業員の勤怠や福利厚生といった労働に関連することを管理したり、職場環境をよりよくする健康やハラスメント対策を行います。
本記事では、労務管理の定義をはじめ
①労務管理の目的
②労務管理は誰の仕事か
③労務管理の具体的な仕事内容
について、簡潔に解説したいと思います。
労務管理とは、社員の能力を最大限発揮するために、従業員の勤怠や福利厚生といった労働に関連する必要な環境管理を意味しています。
労務管理の具体的な項目として、労働者と使用者・経営者との間で結ばれる多様な約束事、労働時間や休日・休暇、福利厚生、賃金や賞与、手当てといった「労働条件」にまつわる事項になります。
企業が所有する資産のひとつが「人材」です。
経営資源には、ヒト・モノ・カネ・情報・時間・知的財産などがありますが、人材の採用・管理など「ヒト」に関する業務は、企業においては最重要事項になります。
企業経営の結果や効果は、「ヒト」の量や質に大きく影響するからです。
労務管理の目的は、その「ヒト」の部分の人材の生産性の向上と言えます。
従業員の活動をサポートするべく、適切な労働環境を提供してモチベーションを維持をすることが労務管理の意義と言えます。
社会情勢に応じて法改正があるなか、労働に関する法令の管理や福利厚生などの諸手続きを滞りなく進めることが労務管理の重要な仕事の1つです。
法令違反による罰則のリスクを回避し、企業の信頼を守ります。
労務管理は、求人・採用から始まり、配置や異動、人材育成、人事評価、賃金および労働時間の管理といった、企業が社員に対して行うすべての管理の総称です。
そのため人事部、労務部、総務部などが労務管理の担当者として業務にあたることとなります。
労務管理の担当者は、それ自体に設置が義務づけられているわけではないのですが、「労務管理」において法的に選任が義務づけられている担当者がありますので記載します。
安全衛生管理とは、従業員の危険防止・健康増進、職場の衛生改善などを担い、「労務管理」業務の中でも重要なものになります。
労働安全衛生法において、常時50人以上の労働者を使用する事業者には「衛生管理者」の選任が義務づけられています。
労働基準法において「監督もしくは管理の地位にある者」を指すのが「管理監督者」となります。
「管理監督者」は労働条件の決定などについて経営者と一体的な立場にある者とされ、労働基準法で定められた労働時間・休憩・休日の制限を受けないことになります。
管理監督者は「管理職」とその定義が混同されがちですが、管理職はその企業によって個別に呼称できる名称となります。管理監督者とするには、労働基準法において「労働時間などに関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容・責任・権限を持つ」といった条件を満たす必要があります。
労務管理の担当者の話において「管理職」だから残業手当は出ない?!ということはよく言われますが、部下の労働条件決定などについて何の権限も持たない「管理職」は「管理監督者」とイコールではないことになります。
労務管理で行う具体的な仕事内容を解説していきます。
労務管理の基本ともいえる法定三帳簿の作成の作業となります。
法定三帳簿とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」のことをいいます。
従業員の氏名や生年月日、人事・労務に必要となる個人情報を記録した帳簿となります。
賃金計算期間、労働日数・労働時間、基本給・手当、税金の控除額など、従業員に対する給与の支払い状況を記載した帳簿となります。
出勤日、出勤・退勤時刻、労働日数など従業員の労働時間に関する記録をまとめた帳簿となります。
労働基準法第109条で、法定三帳簿において5年間保管することが義務づけられています。
この期間が経過するまでは、どのような理由があっても従業員の台帳を処分はできません。
また、保管期間の5年間の起算日がそれぞれに異なる点に注意が必要です。
労働基準法施行規則第56条によると、帳簿ごとの起算日は以下のとおりです。
実務的にも、社会保険や雇用保険の手続きに必要となることも多いため、いつでも確認できるよう保管しておきましょう。
雇用契約書の作成は、労務管理の重要な仕事です。
雇用契約書は、企業と従業員が労働条件をもとに契約を結んだ証明となる書類です。
雇用契約書は、新卒入社または契約社員の雇用時、契約社員の労働契約更改時期に作成します。
従業員の勤務状況を記録する勤怠管理を行います。
労務管理で始業や終業時刻、時間外労働時間数、休日労働時間数、早退などを記録、管理します。
労務管理において休職手続きは、育児休業や傷病休職、介護休職などの手続きとなります。
休職に伴う保険給付の申請や、傷病手当金の請求も行います。
異動手続きに関しては、住所変更や社会保険料の報酬月額変更届を提出する必要もあります。
入社社員の「社会保険」や「雇用保険」の加入手続きを行います。
社会保険は所轄の年金事務所、または加入している健康保険組合で資格取得手続きを実施します。
また、雇用保険に関しては所轄のハローワークでの手続きとなり、提出書類は下記になります。
・厚生年金保険:厚生年金保険被保険者資格取得届(添付書類は原則必要なし)
・健康保険:健康保険被保険者資格取得届(添付書類は原則必要なし)
・雇用保険:雇用保険被保険者資格取得届
労働安全衛生法によって従業員の健康管理である「安全衛生管理」が義務付けられています。
具体的には、事業所における安全衛生を確保するための措置、従業員における健康の保持増進を図る対策などになります。
また「パワーハラスメント対策」が2020年4月から法制化されたため、労務管理の業務として必要なパワーハラスメント対策措置を行うことが義務となります。
セクシュアルハラスメントなどの対策も強化されているため、ハラスメント対策については詳細を確認しておく必要があります。
常時10人以上の従業員を雇用する場合、労働基準法の規定に基づいて「就業規制」を作成する必要があります。
作成後は必ず所轄の労働基準監督署長へ提出し、就業規則を変更する際にも同じように届け出を行います。
就業規則に記載する内容には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」の2つがあるため、確認しながら作成する必要があります。
労務管理とは基本は、従業員を管理することですが、その目的は労務トラブルの防して従業員が安心して働ける職場をつくり、さらには業務効率を上げることになります。
労務管理の担当者は、労働契約から社会保険の手続き、従業員の健康管理と、労務管理の業務は幅広く手間がかかります。また法令遵守やプライバシー保護に気をつけながら行うことが必要なため、精神的な負担も大きいなものです。
複雑な労務管理を効率よく行っていくためには、資格取得や専門家への依頼、ITシステムの利用でより業務を円滑化できます。
また、テレワークや副業の労務管理の紹介もしている記事もありますのでご参考ください。
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