2023年2月14日
使用者(雇用主)である企業が労働者と「雇用契約」を締結する際は、雇用契約の期間について正確に理解することが必要です。
特に注意すべき雇用契約時の選択肢の一つに、期限付きで労働者を雇用する「有期労働契約」があります。
有期雇用契約は労働者に配慮したあらゆる措置が必要なため、人事労務担当者には若干荷が重いように感じられるかもしれません。
本記事では、雇用契約の期間については具体的にどう対応すべきか、雇用契約締結時に明示する事項、無期雇用契約とはどう違うかなど、解説していきます。
目次
雇用契約を締結する上で期間を設定することを、「有期雇用契約」と呼びます。
厚生労働省の公式サイト上では有期雇用(労働)契約の「契約期間」について以下のような記述があります。
厚生労働省公式ページより ※記述は「労働基準法 第2章14条『契約期間等』」を参考にしていると思われる契約期間に定めのある労働契約(有期労働契約)の期間は、原則として上限は3年です。
なお、専門的な知識等を有する労働者、満60歳以上の労働者との労働契約については、上限が5年とされています。(労働基準法)
この記述の通り、有期雇用契約を結ぶ際は原則として「3年」という期間の上限があり、専門スキル等を身につけている労働者や年齢が60歳以上の労働者と契約を結ぶ場合は上限は「5年」となります。
有期雇用契約には4種類、契約の種類が存在します。
各企業ごとで呼び方が異なり、「非常勤契約・嘱託契約・臨時契約」というような呼称で言われることもあります。労働条件通知書だけでなく「雇用契約書」に関しても、有期雇用契約時にも作成し「労働条件の明示」をしっかりと行う必要があります。
雇用契約開始の際に、「試用期間」の設定をする企業は多くあります。
労働者が業務内容の実施のために必要・重要な技能を持っているかを判断するためにこうした「試用期間」を設置しているのです。
試用期間の場合、その多くが無期雇用契約を前提としており、試用期間であれども無期雇用契約下の条件で適用されます。
もし試用期間後に「その労働者の採用をやめる」と企業側が判断した場合「解雇」となります。
従業員の解雇のためには、相当性・合理性ある理由が必要です。
もし無期雇用契約で試用期間を設けるなら、試用期間中はどんな点で労働者を判断し本採用まで決定するかを就業規則上に明記する必要があります。
対して、「有期雇用契約」の場合は、能力の不足や企業にとってそぐわない人材と判断されるなどした従業員は契約期間の満了時に契約の修了が可能です。
有期雇用契約の取り決めの際は、有期雇用契約を結ぶ労働者に対してあらゆる対応の必要があります。
以下の4つの注意点の対応を放棄してしまうと、雇い止めが不可能となったり、企業への制裁が下される可能性があるため注意が必要です。
雇用契約の締結時は、労働条件通知書や雇用契約書に雇用期間がどれくらいかを明示する必要があります。それだけでなく、契約期間の満了時に更新可能性があるかも明示する必要があります。
雇用契約の更新可能性がある際は、更新が自動的になされるか、更新が絶対必要な時のみ更新するのか、契約更新の可能性がないかについて明確に記載しましょう。
また特例として、有期雇用契約で通算5年以上労働した労働者に対しては企業側への無期雇用契約の申し出が可能となります。もし、前もって無期雇用契約の締結予定がないなら、雇用契約期間への注意が必要です。
加えて、「期間」以外にもトラブル防止のため、就業場所・賃金額・業務内容・終業時間や休暇・保険適用の有無など明確な労働条件を提示しなければなりません。
ほかにも
など注意点がいくつもあるので、これらに気を付けつつ労働者側に明示しましょう。
上記の条件を達成している労働者が雇用契約を終了する場合は、契約満了期限の30日前までの間に雇い止め予告を行う必要があります
30日を超過して雇い止めを予告する際は、不足のある日程分の平均賃金を労働者へと支払う義務が発生します。
もし有期雇用契約を結んだ労働者の雇い止めを実施する場合、かつ労働者から「なぜ雇い止めするのか」の理由の提示を要求された場合、使用者である企業はただちにその理由の明示と雇い止め関連の証明書の準備が必要となります。
などの適切な理由を明示できなければ、雇い止めの実施は認可されない場合も有るので注意しましょう。
使用者である企業は有期雇用契約を結んだ労働者側へ「期間」面でもしっかりと配慮をしなければなりません。
もし労働者が希望するなら、最大限契約期間を延ばせるような工夫が必要です。
契約期間の上限は先ほど書いたように、労働基準法で定められています。
それをしっかりと認識しつつ、労働者側により長く雇用し続ける方策について提案していきましょう。
労働者との雇用契約の締結時には雇用契約書の作成を行うケースが多くあります。
雇用契約書では労働条件の記載があり、それを見て労働者がサインと捺印をして同意したことを書面上で証明できます。
雇用契約書は各企業ごとで書式や記載事項など異なってきますが、「絶対的記載事項」という必ず記載・明示の必要がある事項が決められています。
労働契約期間
就業する場所
具体的な従事する業務内容
始業/終業時刻
交代制に関してのルール
所定労働時間を超過する労働(残業)の有無
休日 / 休暇 / 休憩時間
賃金に関する事項(支払方法・締切日・支払日など)
退職・解雇関連の規定
+有期労働契約の労働者は、以下の内容の明示の必要があります。
昇給があるかないか
退職手当があるかないか
賞与があるかないか
「雇用管理」担当部署名と担当者名
これらに加えて、労働条件へ疑問を持った場合に連絡できる相談窓口の電話番号なども記載する必要があります。
有期雇用契約と無期雇用契約の違いについて一番大きい違いは契約期間の有無です。
有期雇用契約では契約期間が設定されている一方で、無期雇用契約では契約期間の定めがないゆえに、定年まで雇用されるケースも多々あります。
その次にあげるべき違いとして「労働者にデメリットが多い」点があげられるでしょう。
有期雇用契約の労働者では
などの条件から有期雇用契約の労働者では、無期雇用契約よりも不利になるケースが多く認められます。
有期雇用契約をした労働者が極力これらの不利益を軽減できるよう、使用者である企業は労働関連の法律を確認しつつ、法律に違反しないよう、雇用契約関連の手続きを慎重に進めることが重要です。
平成25年(2013)4月に改正労働契約法が施行されたため、有期雇用契約利用時の新たな決まり事が制定されました。
ここでは、具体的にどのような点が変わったのかを紹介します。
まず、有期雇用契約から無期雇用契約へ変更ルールが追加されたことです。
そのルールとは、「有期雇用契約が累計で5年以上繰り返された場合、労働者の希望に応じて無期雇用契約へ転換しなければならない」というもので全企業を対象として、改正労働契約法第18条に記載されています。
もし、同じ条件下の有期労働契約の労働者が無期契約への変更を依頼してきた場合、使用者である企業側はその受け入れの拒否が不可能となります。
ただ、待遇が必ずしも正社員である必要はありません。
有期雇用契約者に労働契約の更新を許可しないことを「雇い止め」と言いますが、法改正以後は企業サイドによる雇い止めの無制限実施が不可能となりました。
改正労働契約法19条に記載されており、もし有期労働契約満了時に労働者側が契約更新を望んでいるとされる場合は、「客観的に見て合理的な理由がありかつ、社会通念条で相当である場合」以外は雇止めを宣言しても「意味がない」とされます。
雇止めの無制限実施による、突然の社員のリストラを防ぐための処置として制定されました。
正社員の優遇をなくし、非正規雇用者との待遇格差が理不尽なほどまで生じないように定められたルールとなります。
改正労働契約法第20条に明記されており、簡単に説明すれば業務上のあらゆる観点において非正規雇用者は正社員と同じ条件で無ければならないとされています。
人事労務担当者の方は、非正規雇用者から何か説明を求められるようなことがあっても、それにしっかりと対応できる事が求められます。
ここまで見てきた「雇用契約書」ですが、その取扱いに関しては細心の注意を払ってミスを防ぎ、トラブルを防止する必要があります。
しかし、人事・労務関係はあらゆる「書類」が降り注いできます。
「雇用契約書やそのやりとりの処理をもっと楽にできたら」
そんな時におすすめなのが、VALTECの「電子契約システム」です。
電子契約とは、電子的に作成した契約書をインターネットなどの通信回線を用いて契約の相手方へ開示し、契約内容の合意の意思表示として、契約当事者の電子データ(電子署名・タイムスタンプ等)を付与することにより契約の締結を行うことです。
電子契約は、法律上も認められている契約方法で、書面による契約と同様の証拠力が認められます。
メリット① 契約業務を効率化
従来、雇用契約にあたっては、実際の契約業務(署名・押印)を対面で行っていました。
契約を電子化することにより、メールやチャットで契約書を送付するだけで契約締結が可能です。オンラインでのWEB会議サービスも発達したことから、対面時と変わらない作業効率を実現できます。契約にかかる時間・手間を省き、より重要な業務に時間を充てられるようになります。
メリット② 完全オンラインでの説明・契約が可能に
入社予定者が遠方に住んでいる場合、対面での契約が難しいなどのケースが多くあります。
オンラインでのwebミーティングの活用と合わせて活用することで、対面契約にかかる時間・費用面での負担を大きく減らすことができ、スムーズな契約を実現します。
メリット③ コスト削減
印紙代・紙代・インク代・郵送代など、契約締結・管理に関するコストを大幅に削減することができます。契約ごとに発生する書類を紙媒体で作成すると、かなりの費用がかかります。電子契約ではクラウド上ですべて完結するため、郵送代や、印刷代・インク代など諸経費も削減可能です。
メリット④ 個用意契約書をデジタル化、オンライン上で共有可能
雇用契約書を社内で共有したり、行政書士に提出したりするケースも多くあります。必要書類を印刷・製本・郵送する手間がかかります。
電子契約を導入すると雇用契約書の作成や保管がWEB上で行えるため、作成した契約書等をメールやチャット・専用サービスを用いてオンライン上で共有することが可能です。
メリット⑤ コンプライアンス強化
電子契約により合意締結された書類はクラウドサーバ上で管理され、所定の検索機能により管理する事が可能となります。契約の更新漏れ、そもそも締結が完了していなかった、といった事態を防ぐ事ができます。
メリット⑥ 管理業務のコスト削減・ペーパーレス化も
事業所の一面に、ファイリングされた大量の書類を保管している事業所も多いのではないでしょうか。保管場所の確保はもちろん、必要書類を探したり整理したりする手間がかかります。
電子契約書類はサーバ上で保管されるため、ファイリングや書棚ごとのリスト作成など保管業務は不要です。従来管理に費やしていた時間やスペースを、より重要な業務に充てることが可能です。
デメリット① サイバー攻撃などによるデータの改ざん・盗難
電子契約書類を管理しているサーバがサイバー攻撃を受けると、データの改ざんや破損・盗難のリスクがあります。介護事業所では個人情報も取り扱うため、より一層の注意が必要です。
しかし、これは電子契約に限った話ではなく、セキュリティ全般に対するリスクです。現代では全ての企業が厳重なセキュリティ対策を求められています。電子契約の導入有無に関わらず、日頃から高いレベルのセキュリティを維持することが重要です。
電子契約サービスを検討する際には、以下のようなセキュリティ対策が施されているか確認の上契約しましょう。
・ログイン時の多要素認証
・職員・役職ごとにアクセスできる範囲を制限できるか
・タイムスタンプ
・電子印鑑・電子署名の活用
・改訂内容・修正者・日時の履歴管理
デメリット② コストがかかる
新たなシステムの導入には費用がかかります。
電子契約サービスの費用形態としては、固定の月額費用+契約1件あたりの費用がひと月あたりの費用となるケースが多いようです。企業規模や送信件数、使える機能に応じた複数のプランを設けているサービスも多くあるため、事業所が使用する予定の件数・機能を考慮したうえでサービスを導入する必要があります。
デメリット③ 契約相手から理解を得る必要がある
電子契約を導入する場合、契約相手から理解を得る必要があります。
認知度は上がっているものの実際に導入している企業は少なく、一般的にはなじみがないものでしょう。電子契約に関する知識がない場合は、電子契約への変更に関する同意を得ること、実際の契約方法などを案内する必要があります。
デメリット④ 事業所内の業務フローを変更・周知する必要がある
雇用関係部署や担当者からも理解を得て、業務フローを変更する必要があります。
紙媒体・印鑑を用いた契約方法に慣れていた社員は、心理的に抵抗があったり、慣れるまで「業務が楽になった」と思えなかったりする可能性があります。導入後の管理・運用体制を事前に決めておく、社員への目的・メリット・注意点の周知を十分に行うなど、社内に対しても働きかけが必要です。
特長① 初期費用0円!すぐに始められるDX
初期費用は一切いただきません。「Freeプラン」なら初期費用・月額料金・従量課金も一切必要ない完全無料で電子契約をお試しいただけます。また、充実機能のすべてを無制限でご利用いただける「Normalプラン」でも、一定期間無料でお試しいただける無料キャンペーンを行っております。契約業務の効率化を、まずはお試しください。
特長② 取引先にも自社にもわかりやすいシンプル設計
契約を締結いただくお取引先様は、特別な準備なくメール認証のみで簡単にご利用いただけます。
そして使いやすさに拘った画面は、これまでの電子契約サービスをご利用の方にもご満足いただけます。
特長③ オプションなし!すべての機能をご利用いただけます
一般的な電子契約サービスに必要な機能はもちろん、もっと便利にご利用いただくための機能もご利用いただけます。「低コストで多機能」が特長です。充実の機能をすべてご利用いただけますので、「プランの選定」や「アップグレード」、どのような機能が必要か分からない…と悩む必要はございません。
特長④ 導入企業様への手厚いサポート!顧問弁護士監修の万全なセキュリティ
無料プランも含め、導入いただくすべての企業様への導入と運用のサポートを充実させております。電子契約による業務プロセスの構築から社内外の関係者への利活用推進、導入後の定着化や効果測定まで、徹底してサポートいたします。もちろん大切な契約に関するサービスだからこそ、顧問弁護士監修の元でのセキュリティも万全です。