2023年4月11日
タレントマネジメントシステムとは、各従業員の基本情報や能力、スキルと言った情報の集中管理と共有が可能となるシステムのことです。目まぐるしく変わるビジネスの世界の中で、人材配置と育成の面から組織力の向上が期待できるとして、近年注目が高まっています。
本記事では、「タレントマネジメントシステム」についてその特徴や料金、システムを選ぶ上で必要なことなどを解説いたします。
タレントマネジメントとは、自社のタレント(従業員)が自分の保持する能力やスキルを最大限使ってもらうことで企業の成長につなげる仕組みのことです。
人材の流動化が著しい米国が発祥で、優秀な人材の定着を目的として採用から配置に育成、評価までの人事の業務を大局的に見て行うことを指します。 1997年にマッキンゼー&カンパニーが提唱した”The War For Talent”というキャッチコピーからタレントマネジメントは有名なものとなりました。
タレントマネジメントシステムとは、各従業員の基本情報に加え、能力、スキル等の情報を集中管理して共有できるシステムのことです。
各従業員の特性・才能がどういったものかを分析しつつ、適材適所に人材を配置し育成することにも活用可能で、組織力の向上が期待できます。
タレントマネジメントシステムを活用することで、社員のデータを蓄積しつつ、人材マネジメントや人事戦略に活かすことが可能になります。
従業員のデータの集約と一元管理が可能になる機能が、タレントマネジメントシステムでは最も基礎的かつ必須となります。
情報については一元管理であるものの、複数の管理人がログイン可能になるよう設定を行えば、人事部以外の支社または部署においてもデータ作業が可能になることが特徴です
タレントマネジメントシステムを企業が導入する上で最も重要なメリットは、莫大な人材の情報を扱うことで発生する「業務負担」緩和のための支援ツールとして有用であるということです。
導入企業の中では、満足度に適性、モチベーションの変化までが分かるようになった企業に加えて、離職率の低下につながった企業も存在します。
この章では、タレントマネジメントシステムを導入する事のメリットについて解説していきます。
業務の進捗管理がシステムの上で行えるようになることで、評価運用や管理上での工数削減に繋がります。
それだけでなく、タレントマネジメントシステムの基礎である、社員データの集約と一元管理ができる機能は様々な人事業務の効率化を可能にします。
システム導入により、採用や人材育成、異動など各季節ごとで対応する必要のある業務に加え、社員の給与や勤怠に関わる業務などの業務サイクルについても最適化と効率化が図れます。
従業員の持つスキルに加えて、過去の経験やキャリア志向等の情報を元として異動や配置のシミュレーションがシステムの中で実現できます。
検索機能を用いて行うことで、欲しい条件を満たす人材の発掘に加え、最適なプロジェクトメンバーの割り当ても迅速に可能となります。
タレントマネジメントシステムの導入によって、エクセルや紙で管理していた社内の人材データの収集と一元管理が可能になります。 管理にかかる工数が圧倒的に削減され、人事の業務の効率化が図れるとともに、情報共有が容易となり、経営の意思決定に加えて人事戦略の策定にも人材データの活用が可能になります。 蓄積された人材データは今後へ向けての課題点の解決や改善のための重要な数字にもなりえます。
従業員へのアンケートについて、システム上で簡単に作成と運用が可能になるのが「アンケート機能」です。
項目を自由に設定可能なほか、モチベーションの調査に加えて従業員の満足度調査も実施可能であるため、会社への愛着度の向上も期待できます。
タレントマネジメントシステムの活用により、幹部候補になりうる才能ある人材の把握が可能になり、集中的な教育を施すことで、次世代のリーダーのような幹部候補の計画的な早期育成が可能となります。
人材データを活用するタレントマネジメントシステムでは、その特徴からSDGs(持続可能な開発目標)のうち「5 ジェンダー平等を実現しよう」「8 働きがいも経済成長も」の項目の実現に貢献できると期待が高まっています。
5 ジェンダー平等を実現しよう
⇒公正かつ透明な評価や昇進制度の確立に貢献できる。
8 働きがいも経済成長も
⇒業務可視化での平準化や各社員の生産性への意識付け
高パフォーマンスの実現のために社員の才能を引き出せる環境を作り出す
これらのことにタレントマネジメントシステムが貢献できると期待されています。
タレントマネジメントシステムには3つの特筆すべき機能が存在します。この三つの機能に加えて、レポーティングや分析機能を活用すれば、一層の効率化が望めるかもしれません。
各社員の経験に資格、スキルなどの「才能」を一元管理できる機能です。 コミュニケーション能力に加えて行動の特性といった具体的な情報の登録が可能です。 これらの内容を基礎として人材配置を実行するため、タレントマネジメントシステムの基礎的な部分と言えます。
社員・従業員の目標を設定しつつ、その実績や達成度の評価や管理を行える機能です。全社または部門の単位で評価集計を実行できたり、有能社員の行動特性を評価軸に設定できる製品も存在します。
次世代を担うような後継者へ求められてくる性質またはスキルを設定しつつ、それに近しい人材を抜擢できる機能になります。 この機能の活用により、企業の安定には欠かせないリーダー候補になりうる後継者育成を簡単に行えるでしょう。
こうしたタレントマネジメントシステムを選定する上で、自社に合ったシステムを比較・導入するためにはどうすればいいのでしょうか。
大きく分けて4つのポイントがあります。
自社の課題解決の面で本当に必要な機能が搭載されているかの観点からシステムを比較するとよいでしょう。
自社の課題の例としては以下のようなものが挙げられます。
例① 現場も含む異動調整に工数がかかっており、異動配置の最適化をしたい
⇒異動配置シミュレーション
例② 人材データが様々なところに散らばり、うまくまとまっていない
⇒人材データの一元管理機能
例③ 人材個々人のスキルや目標が可視化されていない
⇒スキル管理・目標管理機能
例④ 幹部候補などの優秀な人材を早めに見つけて、活躍の機会を与えたい
⇒サクセッション機能
自社が抱える人事上の課題がどのようなものなのかをまず明確にしつつ、そこからシステムの中にある各要素の中からどの問題に対応できるかを考えていくと、選ぶ際に参考になるかもしれません。
タレントマネジメントシステムの効率的運用のためには、自社の実態や制度に沿った運用や設計をするべきと言えるでしょう。
システムの導入前後で、それぞれ行うべきサポートが異なってきます。
システム導入前
システム導入後
これらのサポートと自社の運用や設計に関する実態とを照らし合わせたうえで、希望に沿った機能を備えたシステムを選ぶべきと言えるでしょう。
自社の必要とする人材データが一元化または可視化されたシステムでなければ、たとえどんなに操作がしやすくとも、意味はないものです。
データが蓄積さえされていれば良いわけでなく、分析のしやすい形でいつどこからでも取り出すことが可能な形になっていることが理想と言えます。
必要に応じ、一定期間ごとでデータを区切りつつ、自動的に分析をして答えを出す機能があれば、可視性は高いといえるでしょう。
もし、タレントマネジメントの支援システムで柔軟性や拡張性がないならば、ただの閲覧システムとなってしまうでしょう。
配置転換や組織変更が頻繁に行われる成長途上の企業ならば、組織自体が大きく変化する可能性も大いにあります。組織の状態に沿った項目変更が細かく行えることが大変重要です。
ただし、柔軟性をいくら高くしても変更するたびに追加費用がかかってしまったりなど、システム維持で極めて多額のコストが必要となってしまっては、たとえどんなに効率化ができたとしても費用対効果は合わなくなってしまいます。
項目の変更や追加の際に追加費用の発生しないシステムを選ぶのが重要です。
タレントマネジメントシステムは人事管理システムや人事評価システムとはどのような点で異なるのでしょうか。 それぞれのシステムの特徴を挙げると以下の通りです。
タレントマネジメントシステム |
・人材の「才能」管理システム ・能力やスキルのデータベース化により人材配置や育成計画に利用可能 ・才能を見据えた企業内での活用に加え、将来にわたる育成 |
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人事管理システム |
・「人」の管理システム ・氏名や性別、住所など個人のプロフィールを登録可能 ・現在・過去の人材情報の管理が可能 |
人事評価システム |
・人事評価での「ワークフロー」管理システム ・周囲からの評価に自己評価の記録が可能 ・過去の実績の客観的評価とそれらの報酬への反映が可能 |
それぞれ、着目するポイントが「才能」か 「人」か 「ワークフロー」かで特徴の違いがあります。
人事管理システムは、会社内の「人」を管理するシステムであり、氏名や性別・住所と言った社員の個人情報の登録をすることで、現在・過去の人材情報の管理を可能にするシステムです。
対して、人事評価システムは、人材評価における「ワークフロー」のシステム化のためのツールです。基本的には人事業務の生産性を向上させるために用いられますが、公正な人事評価を下すためにも重要なシステムです。タレントマネジメントシステムと連携させることも多くあります。
こうしたシステムはそれぞれ各自で導入して、互いに連携をさせることが人事業務の効率化には重要とされています。
ただ、星の数ほどあるこれらのメーカーを比較して、それぞれ導入していくべきかというと疑問が浮かぶでしょう。
というのも、360度評価など機能が十分すぎても逆に使いこなせず、無駄な出費になる可能性があります。
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