【労務必見】労務管理とは? 労務の基本から人事管理との違い、8割作業時間を削減する方法も解説

労務管理とは?

会社の発展や事業拡大において、従業員の「労務管理」は大変重要な課題です。
従業員から見て、働きやすい環境があるかや効率的な作業が行われているかなどを企業側が把握できていなければなりません。
本記事では、「労務管理」について具体的な定義や勤怠管理などとの違い、副業・テレワークでの労務管理などを徹底的に解説いたします。


1. 労務管理とは

労務管理とモルモット

労務管理とは、福利厚生や賃金についてなど、従業員の「労働」に関してのことを管理する仕事のことを指します。
賃金システムの見直しや労働時間の管理等が仕事の中に含まれます。

労務管理は誰の仕事?

疑問符を浮かべる女性

人事部・労務部・総務部などが労務管理の担当者として業務にあたることとなります。
労務管理の担当者は、それ自体に設置が義務づけられているわけではないのですが、「労務管理」において法的に選任が義務づけられている担当者が存在します。

衛生管理者

安全衛生管理とは、従業員の危険防止・健康増進、職場の衛生改善などを担う、「労務管理」業務の中でも重要なものになります。
労働安全衛生法において、常時50人以上の労働者を使用する事業者には「衛生管理者」の選任が義務づけられています。(参考:厚生労働省HP)

管理監督者

労働基準法において「監督もしくは管理の地位にある者」を指すのが「管理監督者」となります。 「管理監督者」は労働条件の決定などについて経営者と一体的な立場にある者とされ、労働基準法で定められた労働時間・休憩・休日の制限を受けないことになります。

管理監督者は「管理職」とその定義が混同されがちですが、管理職はその企業によって個別に呼称できる名称となります。管理監督者とするには、労働基準法において「労働時間などに関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容・責任・権限を持つ」といった条件を満たす必要があります。

労務管理の担当者の話において「管理職」だから残業手当は出ない?!ということはよく言われますが、部下の労働条件決定などについて何の権限も持たない「管理職」は「管理監督者」とイコールではないことになります。

人事管理との違い

人事管理

労務管理と比較されることの多い人事管理は、従業員の採用・雇用から、解雇・退職までの一連の管理を行います。
人事管理では、人事考課に加え採用や従業員の異動や配置までの業務をその仕事の中に含みます。

勤怠管理との違い

勤怠管理

勤怠管理は、労務管理の中の概念です。
労務管理の中でも、勤務状況の把握や管理専門の業務のことを言います。
勤怠管理では、従業員の労働時間・残業時間のみならず、出勤に欠勤、遅刻に早退までも管理します。重ねて、年次有給休暇の取得状況について管理することも勤怠管理に含まれます。

労働基準法第108条では、

使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

として賃金台帳の作成とその運用が義務付けられていますが、この運用も勤怠管理の範囲に含まれます。

2. 労務管理の目的

Goal

企業の経営資源の中には、情報や資金、時間、知的財産等がありますが、人材すなわち「人」もその中に含まれます。そして、この「人」にかかわる業務、例えば人材の育成から管理までを行う業務などは、どんな企業でも優先度は高いといえるでしょう。
というのも、企業活動が成功するか否かは、「人」の質や量によって強く左右されるからです。
労務管理の主要な目的は人材の生産性の向上です。
従業員の活動をサポートするために、適切な状態に労働環境を維持することが労務管理の意義と言えます。

3. 労務管理に必要なスキルや資格

スキル

労務管理業務では、かつては莫大な労務の知識の把握の必要があったのですが、人材マネジメントシステムに加えて労務管理システムが普及したことによって、現代の労務管理業務では高度に専門的なシステムは要求されなくなりました。

その代わりとして、労務管理で従事する人には経営者に近い視野から、物事を見通していく視点を持つことが求められつつあります。
どのように人件費を抑えつつ、利益を増していくか。どうやって、従業員のモチベーションを上げるか。どんな原因で労働に関しての課題が起きて、どう打つべき手を講じていくかなど長期的な目線から考えることが重要になります。
ちなみに労務管理で重要となる資格には、労務管理士とビジネス・キャリア検定試験等があります。

労務管理士

様々な労務管理業務上の分野において、総合的な知識を習得していることを表す資格です。
この資格の取得の上で重要なのは、労働基準法についての基本的知識と実践面で必要となる知識を有していることです。
具体的な取得方法としては以下の4種類があります。

  • 書類審査    =労務管理士からの推薦に加えて、3年以上の実務経験があるなら、講座や試験を受けずとも取得が可能です。
  • 公開認定講座  = 全国の主要都市で開催されている口座を受講したうえで、試験に合格すると取得が可能です。
  • 通信講座    = 通信形式で講座の受講をした上で、試験に合格すると取得が可能です。
  • Web資格認定講座 = Webで受講可能な通信講座で、試験自体もWeb上で受講可能です。

※書類審査以外の取得方法は満20歳以上ならば誰でも受験が可能です。

ビジネス・キャリア検定試験(3・2・1級)

厚生労働省の定めた職業能力評価基準に準拠したもので、全国47都道府県で年2回実施されている試験です。 下記の8分野での職務の遂行に必要となる知識の習得に加えて、実務能力を評価されます。

  • 人事・人材開発・労務管理
  • 企業法務・総務
  • 経営情報システム
  • 経営戦略
  • 経理・財務管理
  • 営業・マーケティング
  • ロジスティクス
  • 生産管理

この中で「人事・人材管理・労務管理」でのビジネス・キャリア検定試験では、

  • 人員計画作成
  • 福利厚生
  • 就業管理
  • 安全衛生
  • 労使関係
  • 従業員の採用
  • 人材育成

といった、人事労務上の業務を対象として幅の広い知識を求められます。
他の試験ではある「BASIC級」はなく、3級から受けられます。
2級および3級で評価対象となる労務管理の範囲は「福利厚生」「就業管理」「労使関係」「安全衛生」の4範囲です。
1級においては、全般的なマネジメントの能力を問うため、全範囲からの出題がなされます。

その他の試験

上記二つ以外で、労務管理の業務に関わってくる試験としては以下の3つが挙げられます。

  • 社会保険労務士
  • 衛生管理者
  • マイナンバー実務検定

社会保険労務士

国家資格で、「社会保険労務士法」に準拠します。社会保険の申請書類の作成に申請の代行といった、手続きに関しての知識の習得が可能です。ほかの社員の手続き代行が可能となるため、企業では非常に重宝されます。
重ねて、資格の取得で社会保険労務士名簿へ登録がなされ、都道府県社会保険労務士会に入会が許されることも特徴です。
試験については、一定以上の学歴と実務経験を持った人のみが受けられ、毎年4月中旬~5月末まで申し込みが可能で、8月に試験開始となります。

衛生管理者

健康障害並びに労災の防止を主たる目的として、会社内部の衛生環境を管理するための国家資格です。
職場環境管理に衛生教育の実施や、従業員の健康管理など多岐にわたる業務を行います。
もし、職場を巡回する中で業務内容や設備に衛生的な問題がある場合は、速やかな対処が必要とされます。

一定以上の学歴並びに、労働衛生関連の実務経験のある者のみ、全国7か所の安全衛生技術センターにて資格取得が可能です。

マイナンバー実務検定

マイナンバー法並びにマイナンバー制度への理解があるかを問う民間資格です。
1~3級が存在し、ある一定以上の級へ合格した場合、講習会の受講が可能なことが特徴です。労務管理業務に役立てたいなら2級以上の取得が良いでしょう。全国の指定会場で年齢や国籍を問わず受験でき、定期的に試験が実施されています。

本業と副業

4. 労務管理の基本項目

法定三帳簿

法定三帳簿

労務管理の業務内容の確認の前に、労務管理における基本項目の「法定三帳簿」について知っておくべきと言えるでしょう。
法定三帳簿は「出勤簿・労働者名簿・賃金台帳」の三帳簿からなります。

出勤簿

出勤簿とは、従業員の出勤状況について記録がなされている帳簿です。

  • 使用者により自ら始業と終業時刻を記した書類
  • タイムカードなどの記録
  • 労働日数と労働時間

などの情報をまとめます。
3年間の保存期間が定められており、最終出勤日から起算されます。

労働者名簿

各従業員それぞれの情報をまとめた書類を労働者名簿と呼びます。
氏名と生年月日、住所や性別といった従業員の個人情報について詳細にまとめられています。
労働者名簿の保存期間は3年で、退職・解雇・死亡の日から起算されます。

賃金台帳

賃金台帳は各従業員それぞれの賃金の支払いについての状況をまとめた帳簿です。
氏名や性別に加え、労働時間数や賃金の計算期間、基本給に手当などの種類や額、控除項目にそれらの額などの項目についてまとめられます。
保存期間は他と同じく3年で、最後の賃金について記入した日から起算されます。

5. 労務管理の際の具体的な業務

法定三帳簿の作成と保管

法定三帳簿

労務管理の際には、先述した「法定三帳簿」を作成する必要があります。
作成のみならず、紛失などが無いよう厳重に保管する必要があります。
記載事項と保存期間については、法令によって定められているため注意が必要です

保存期間

労働者名簿 = 労働者の退職日もしくは解雇日より3年
賃金台帳  = 最後に記入した時点から3年
出勤簿   = 最後の出勤日から3年

参考: J-Net21「労務管理の『法定三帳簿』」

雇用契約書の作成

雇用契約書

雇用契約書の作成は、新卒および契約社員の雇用時と契約社員の労働契約更改時期に行います。
新入社員の雇用は4月が一般的ですが、企業によって3月や9月に行ったり、近年では転職市場が活況のため、中途採用を積極的に推進している企業は年間スケジュールに関係なく、雇用するケースが多くなっています。

雇用契約書とは、企業と従業員が労働条件について合意した内容を記載した書面です。
原則、労働条件は労働基準法によって労働契約締結時に書面(またはファクシミリ、メール等)で明示しなければならないと定められています。

雇用契約書は、どんな場合でも必ず記載の必要がある「絶対的記載事項」と企業が該当の制度を設けている場合記載の必要がある「相対的記載事項」の二つが存在します。

絶対的記載事項

労働契約期間

就業する場所

具体的な従事する業務内容

始業/終業時刻

交代制に関してのルール

所定労働時間を超過する労働(残業)の有無

休日 / 休暇 / 休憩時間

賃金に関する事項(支払方法・締切日・支払日など)

退職・解雇関連の規定



+パート・アルバイト等の短時間労働者は、以下の内容の明示の必要があります。

昇給があるかないか

退職手当があるかないか

賞与があるかないか

「雇用管理」担当部署名と担当者名

相対的記載事項

退職手当の適用される労働者の範囲

退職手当の具体的な決定/計算/支払方法

退職手当を支払う時期

臨時で支給される賃金について(賞与・奨励加給・精勤手当など)

最低賃金額について

労働者の負担となる食費・作業用品について

安全衛生関連の事項

職業訓練制度について

業務外の傷病扶助・災害補償制度

表彰・制裁の制度

休職関連の事項


※「相対的」でも、これらに該当する制度を設置している場合、記載の必要があります。

就業規則の作成

就業規則

常時10人以上の従業員を使用する企業は、労働基準法の規定により就業規則の作成と所轄の労働基準監督署長への届出義務が発生します。
就業規則を変更する場合も、同様に届け出なければなりません。就業規則の変更は、法改正が行われることの多い4月に実施する場合が多いといえます。常時10人以上の労働者を使用するに至った場合は遅滞なく届け出る必要があります。
(参考: 労働基準法施行規則49条)

就業規則に記載すべき内容には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」があります。絶対的必要記載事項は必ず記載しなければならない事項で、相対的必要記載事項は、会社で定めている事項があれば記載しなければなりません。それぞれ、記載漏れのないように、しっかりと確認しておきましょう。

絶対的必要記載事項

労働日における始業と終業の時刻

休憩時刻、休憩時間、その与え方

休日となる日

休暇(年次有給休暇、産前産後休暇、生理休暇、冠婚葬祭等の特別休暇など)

シフト制を敷いている場合は、就業時転換に関する事項(交代期日、交代時刻、交代順序など)

賃金の決定方法、計算方法、賃金の決定要素、賃金体系

賃金の締め日、支払日、月給・週給・時給等の区分

昇給の時期、その条件

解雇の事由を含む退職関連事項(退職手続き、解雇の理由、定年など)

相対的必要記載事項

退職手当(適用される労働者の範囲、計算要素、計算方法、一時金か年金かの支給方法と支給時期)

退職手当を除く一時金、臨時の手当

最低賃金額

食費・作業衣・作業用品などの負担

安全及び衛生に関すること

職業訓練(訓練の種類、時期、対象者、訓練中の処遇)

業務上及び通勤途上の災害補償、業務外の傷病に関すること

表彰(表彰の種類、事由、手続き)

制裁(制裁の種類、事由、手続き)

休職、出向、出張旅費など

各種保険類の手続き

社会保険

新入社員の入社時に加入する「社会保険」「雇用保険」の二つの加入手続きについても、労務管理の仕事となります。
社会保険については地域の年金事務所で、もしくは企業が加入している健康保険組合で資格の取得手続きを実施しなければなりません。
重ねて、雇用保険は、所轄のハローワークにて手続きを行う必要があります。
業務上必要な提出書類は以下の通りです。

  • ・厚生年金保険:厚生年金保険被保険者資格取得届(添付書類は原則必要なし)
  • ・健康保険:健康保険被保険者資格取得届(添付書類は原則必要なし)
  • ・雇用保険:雇用保険被保険者資格取得届

勤怠管理や給与計算の管理

給与所得の源泉徴収票

勤怠管理・給与計算の管理も労務管理の一つと言えます。従業員が出退勤をした時間に加えて遅刻・欠席の有無、休暇取得の状況など、正確に整理しつつ管理をします。
重ねて、入力勤怠データに人事考課といったデータから、給与額の支払いの計算を実行します。
もし長時間労働を行う従業員がいた場合、残業アラートを設定し是正を促したり、メンタルチェックを実施するなどの対応をする必要があります。

福利厚生管理

福利厚生

「福利厚生」では2種類、法律に定められた「法定福利」と社内で定められた「法定外福利」が存在します。どちらも労務管理の対象となっています。

法定福利=

各種社会保険の申請(健康保険・雇用保険・労働保険)
従業員住所・扶養している家族・氏名変更時の年金事務所への届出

法定外福利=

特別休暇
社宅の用意
育児支援

などがそれぞれに分類されます。ちなみに、法定外福利については企業ごとに異なるため注意が必要です。

安全衛生や従業員の健康の管理

従業員が安全かつ快適に働けるようにするため、安全衛生に加えて健康診断などの管理を行うことも労務管理業務の一つです。
健康診断結果を記録したり、従業員へ通知をしたり、労働基準監督署への報告をするなどの作業が必要となります。
重ねて、平成26年の労働安全衛生法の改正から50人以上の従業員を抱える企業では、1年おきのストレスチェックの実施の義務付けがなされています。
こうした健康関連の通知に加えて、産業医に対しての対応等の業務も労務管理に当たります。

ハラスメント対策

「パワーハラスメント対策」が2020年4月から法制化されたため、労務管理の業務として必要なパワーハラスメント対策措置を行うことが義務となります。

このパワーハラスメント対策の法制化に伴い、セクシュアルハラスメントなどの防止対策も強化され、職場におけるハラスメント防止のために、必要な措置を講じなければ是正指導の対象となります。
ハラスメント対策は、是正指導を受けないように十分な対応を検討しておきましょう。
【参考文献】厚生労働省 職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)

退職手続き

労務管理における退職手続きは、社会保険・雇用保険の脱退手続き、労働者名簿の更新、退職手当の支給などが対象となります。

社会保険は退職日から5日以内、雇用保険は退職日の翌日から10日以内に、加入手続きと同様に所轄の年金事務所および健康保険組合、ハローワークへ資格喪失届を提出します。ハローワークから発行される「離職票」は、退職した従業員へ送付しなければなりません。資格喪失手続きが遅れると離職票の発行も遅くなってしまうため、届出漏れがないように気を付けておきたいポイントです。

退職手当の規定がある企業は、就業規則で定められている方法で退職した従業員へ退職金を支給します。

休職・異動手続き

休職手続きには、育児のための育児休業、ケガや病気などの傷病休職、介護を理由とした介護休職などがあります。
休職に伴い、社会保険・雇用保険の保険料手続きや育児休業給付金・介護休業給付金といった保険給付の申請、傷病手当金の請求などが必要になります。

異動手続きに関しては、住所変更や社会保険料の報酬月額変更届を提出する必要もあります。

6 テレワークや副業兼業などの労務管理

在宅勤務

近年、人々の働き方は多様化しています。「テレワーク」や「在宅勤務」「ワーケーション」などの場合には、どのように労務管理をすればよいのでしょうか。労務管理のポイントを、ケース別にご紹介します。

テレワーク・在宅勤務の労務管理

インターネットの情報通信技術を利用して行う事業場外勤務、いわゆる「テレワーク」や「在宅勤務」は、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であることから、子育て、介護と仕事の両立手段となるとともに、ワーク・ライフ・バランスを図ることができ、多様な人材の能力発揮が可能となります。

しかし、一方では従業員の確認が難しい状態で、企業側は「労働時間の管理が難しい」等が、労働者側からは「仕事と仕事以外の切り分けが難しい」、「長時間労働になりやすい」等の問題点が挙げられています。

 そのため、テレワークを考慮した社内ルールを明確にしましょう。
「就業規則の変更」「在宅勤務規定の策定」といった対応をするかたちになります。
「交通費や諸手当の支給をどうするか」「光熱費や通信費を企業が負担するか」なども定義しておいたほうがよいでしょう。

勤務時間の管理は、クラウドシステムを利用して正確に不正がない整備をしておきましょう。

【参考文献】:厚生労働省『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン

副業・兼業の場合

 年々、副業・兼業を希望する方が増えています。収入を増やしたいといった収入面だけでなく、スキルアップや人脈を広げたい、起業をしたいなど色々な理由があります。

 厚生労働省は2020年9月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定し、労働時間の通算や安全配慮義務、秘密保持義務、競業避止義務など、副業・兼業におけるルールをより明確にしました。
 2022年7月に再改定し、副業・兼業により労働者が適切な職業選択を通じ、多様なキャリア形成を促進するため、企業が副業・兼業に関する情報の公表を推奨しています。

 兼業・副業をしている場合、自社と副業・兼業先での労働時間を通算して、労働時間を管理するのが原則となっています。
 しかし2020年に改定されたガイドラインでは、労働時間管理を簡便にするため、「管理モデル」という新しい方法が導入されました。
 管理モデルを使った場合、一定の範囲内で、自社と副業・兼業先が事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定することが可能です。
 管理モデルを実施すれば、副業・兼業する従業員が企業で設定した労働時間の範囲内で働いてもらえます。
 管理モデルは、労使双方で手続きの負担が軽くなり、労働基準法に定める最低労働条件が遵守されやすくなる方法なので、是非利用を検討しましょう。

【参考文献】:厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン
厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説


7. 注意の必要な労務管理上の課題

現在、終身雇用制や年功序列といった制度が崩壊しつつあり、労務管理においての手法や概念自体が大きく変革の時期を迎えつつあります。
そうした中では、これまでの環境と異なってくるがゆえの「トラブル」も数多く発生してきています。
ここでは、こうしたトラブルの中でも多くの企業が抱えうるものを4点ご紹介します。

法令順守(コンプライアンス)関連

compliance

時代の変化に対応して労働基準法などの「労働法」は改正されてきています。
特に2019年施行の「働き方改革」に伴う法改正の数々は大きな印象を与えたことでしょう。
そんな時代の変化の中では、今まで行ってきたことが実は「法令違反」につながってしまう事例も数多く存在します。
定時後の「サービス残業」や機密情報や個人情報の取り扱いの仕方などはその一例です。
法令順守をこれからの時代徹底していくためには、法改正に関してのニュースをしっかりと確認し、社内の状況と比べて判断していくことが重要です。

様々な働き方の採用や適応

本業と副業

「働き方改革」が進行する昨今のビジネス界では、新型コロナウイルスの流行等もあり在宅勤務や副業、ワーケーションといった、これまでと異なる働き方が増えつつあります。

かつてと同じ労務管理のやり方では、こうした働き方の変化への対応は難しいものです。
変化しつつある働き方に対応するためには、就業規則を見直したり、新しい社内規定を付け加えたり、勤怠管理システムを導入するといった取り組みを積極的に行うことが重要と言えます。

従業員の働きやすい職場の構築

LIFE

結婚や出産、退職時の対応など従業員のワークライフバランスの徹底が求められる中で、従業員の求める職場の最低基準についても上昇しつつあります。

重ねて働き方改革関連法案によって、労働環境の整備をしなければ罰則対象になりかねなくなる状況の中で、多くの労務管理担当者はその対応に追われていることでしょう。
そうした中では、まずどのようなことをする必要があるかを、労働環境の整備を推し進める国の立場から把握していくことが重要です。
厚生労働省のページなどでは、中小企業向けに助成金についてなど情報を発信していたりするので、こうした国からの情報を頼りに職場改革を進めていくことが重要と言えます。
(参考: 「職場環境を整備・改善したい」厚生労働省HP)

生産性を考えた業務の改革

PDCA

労務管理の業務も「生産性」を意識することが求められつつあります。 労務管理の仕事の効率化のためには、バックオフィスや他の部署との取次業務を変えていくことが重要なカギとなります。 昨今では、これまでのような紙での管理でなく「電子契約」といった電子上での取引によって、何度も承認作業をする必要があるような状況は確実に減りつつあります。 今後の労務管理では、毎日同じ作業を行うのでなく、どうやったら業務を効率化できるかを常に考えていくことが重要です。 社内の課題の中でどの部分が最も重要か、どのように改善していけば良いか、といったことを自ら主体性を持ち、取り組んでいくことがポイントと言えます。

8. 労務管理業務の時間を80%削減するには

dx

昨今の世の中では、「DX化」が叫ばれつつあります。 DX化とは、企業がデジタル技術を用いて業務フロー改善や新たなビジネスモデルの創出に取り組み、旧来のシステムや企業風土を変革していくことを指します。

ただ、「労務管理」の複雑な業務を果たしてDX化できるものがあるのか、悩まれるかもしれません。

重ねて、労務管理の業務上では、社会保険労務士といった資格が必要なものもあるため、どうしてもDX化に踏み切れない部分があるのではないかと思われるかもしれません。

実は、こうした労務管理の業務を簡単にできるシステムがあるのです。

それが「MOT/HG」です。

新人採用時のエントリーから採用までの流れをスムーズできるだけでなく、社員自らが労務側で必要だった申請をしてくれることで圧倒的に人事労務の負担を削減。
人事表や内線表等の人事労務上必要な書類を「自動作成」することも可能です。
さらに、労務士へ依頼が必要な申請に関しては、承認後に労務手続き依頼を行います。

また、同じ会社の「DX Sign」と組み合わせることで、雇用契約書の電子契約化も可能。

官公庁等にも導入実績のあるクラウドPBXサービス 「MOT/TEL」のミドルプランを導入することで
勤怠管理システム「MOT/勤怠管理」を含めて「MOT/HG」の導入が可能です。

労務作業の津手続きにおいては、紙やPDFでメールを送信したりしている作業であれば80%が削減できるデータもありますので、詳しくは下の画像をクリックして詳しい情報を見てみるとよいでしょう。


日付: 2023/04/17
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