すべての企業が対象になる「DX認定制度」とは?認定事業者になると得られる大きなメリットを解説

DX認定制度

DX(デジタルトランスメーション)に取り組む企業を後押しする目的で政府は「DX認定制度」を開始しました。DX認定事業者になれる企業に基準はなく、公益法人や個人事業主を含めたすべての企業が認定対象になり、申請することで全ての企業に認定される可能性があります。
申請方法、認定によるメリットなどをこの記事で紹介していきます。

コンテンツの目次
  1. DX認定制度とは
  2. DX認定事業者になるメリット
  3. DX認定を受けている代表的な企業
  4. デジタルガバナンス・コード
  5. DX認定制度の申請方法
  6. 認定がゴールではない。DXの4つの階層
  7. DXを推進するための参考ツール

DX認定制度とは

DX認定制度図解

DX(デジタルトランスフォーメーション)を改めて説明すると、データとデジタル技術の活用により顧客や社会のニーズを捉え、製品やサービス、ビジネスモデルを変革して、競争力強化と成長を目的とする経営戦略です。
時代の変化やテクノロジーの成長が著しいが現代を生き残るために、DXの推進は必要不可欠なものです。

2018年9月7日に経済産業省が発表した「DXレポート」ではこのまま日本企業のDXが進まない場合2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性が明らかになりました。
続く2019年経済産業省はDXについて簡単な自己診断ができる「DX 推進指標」を策定。2019年~2020年の診断結果を分析すると、日本企業の約9割がDXが適切に行われていないという状況が明らかになりました。
それでもDXの推進に取り組めていない企業が多いという現状を改善するために、2020年5月15日に施行されたDX認定制度です。

DX認定制度は「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律 」に基づく認定制度です。
認定されることで「DX認定ロゴマーク」をWEBサイトなどの企業の広告に使用することができるようになり、DXについての優良な取組を行っている事業者としての認定を受けることができます。情報処理推進機構(IPA)により認定審査事務を行い、最終的な決定は経済産業省が行います。

参照:情報処理推進機構(IPA) DX認定制度 Web申請受付中




DX認定事業者になるメリット

DX認定制度の活用によって企業側は大きなメリットを得ることができるため、多くの企業がDX認定制度に注目しDX認定事業者を目指しています。どのようなメリットがあるか具体的に紹介します。


社会的認知、ブランド力の向上

DX認定を取得した事業者は、経済産業省のホームページや、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のウェブサイト上にある「認定事業者一覧」に公表されます。
一覧に名を連ねることにより、企業としての信用性や、認定を受けることでDXの取り組みが優良であるという大きな指標となり企業のブランド力向上にも繋がるでしょう。
また、人材採用面でも「先進的な企業である」「積極的に組織改革をしている」という印象を与えることができ、優秀な人材獲得につながります。



税制が優遇や金融の支援が受けられる

DX認定の取得は、2021年度「税制改正の大綱」の中にある「DX投資促進税制」の要件にもなっており、DX認定を受けることで税額控除や特別償却の措置を受けられます。
控除額は、投資額の3%から5%または特別償却の30%となっており、企業経費の削減にもつながります。
参考「税制改正の大綱|財務省」


DX認定ロゴがの使用が許可される

DX認定ロゴ

DX認定を受けると、経済産業省が作成した認定制度ロゴマークの使用が許可されます。webサイトや名刺などに使用することで、DX認定事業者であることを証明し、DXへの取り組みを強化していることをアピールできます。



DX認定を受けている代表的な企業

2021年11月現在、209件の企業がDX認定を受けています。 代表的な企業を一部紹介します。



株式会社NTTドコモ

2021年8月にDX認定

具体的な方策
7,000万を超える会員基盤を活用し、ドコモやパートナーのサービス、ソリューションをさらに拡大していく取り組みとしてデジタルマーケティングを推進する。 具体的には、マーケティングオートメーションの整備により、商流の加速・お客様とのリレーションの強化等を 実現していく。



株式会社セブン&アイ・ホールディングス

2021年5月にDX認定

具体的な方策
お客様との関係性強化・顧客理解の深化・顧客ニーズに沿ったサービス提供には、顧客・購買データのグループ統合把握が不可欠であり、グループ横断で「7iDによる顧客情報統合」を行います。さらに把握したデータで顧客理解を深め、当社ならではのサービスを提供し「お客様の離脱防止/定着化」と「優良顧客の育成」を図ります。



株式会社資生堂

2021年7月にDX認定

具体的な方策
店頭とオンラインを融合した体験による事業モデルの転換。デジタルプロモーションを通じて、お客さまを店頭に誘引し、蓄積した肌データを活用したカウンセリングの提供、購入後のデジタルを通じたフォローアップ・ポイントプログラム等により、お客さまロイヤリティ及びライフタイムバリューを向上させる。
上記のようにDX認定を受けるには具体的な経営ビジョン・ビジネスモデルをステークホルダー(企業活動を行う上で関わりを持つすべての人々)に提示していく必要があります。
それではどのような手順でDX認定を受けることができるのかを解説します。


参照:DX認定制度 認定事業者の一覧



上記のように認定を受けるためにはDXに対して具体的にどういう施策をしているかが重視されます。 それではDX認定制度を申請方法の解説します。



デジタルガバナンス・コード

認定されるには、「デジタルガバナンス・コード」と呼ばれる基本事項に対応している必要があります。

デジタル・ガバナンスコード
企業が、経営において、デジタル技術による社会変化への対応を捉え、ステークホルダー(企業活動を行う上で関わりを持つすべての人々)との対話を基盤として、行動していくにあたっての原則のこと


こちらの基準に照らしあわせた6つの項目を基準に申請書に記入し提出します、6項目は以下の通りです。

経営ビジョン・ビジネスモデル
・企業経営の方向性, 情報処理技術活用の方向性の決定

戦略
・企業経営, 情報処理技術の活用の具体的な方策(戦略)の決定

組織づくり・人材・企業文化に関する方策
・戦略を効果的に進めるための体制の提示

ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
・最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策の提示

成果と重要な成果指標
・戦略の達成状況に係る指標の決定

ガバナンスシステム
・実務執行総括責任者による効果的な戦略の推進等を図るために必要な情報発信
・実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握
・サイバーセキュリティに関する対策の的確な策定及び実施


参照:経済産業省情報技術利用促進課 DX認定制度 申請要項



DX認定制度の申請方法

DX認定制度の申請手順は主に4つのステップから成り立っています。確認していきましょう。

  1. DX認定制度申請要項を確認する
  2. IPAのホームページから「認定申請書」「申請チェックシート」をダウンロードする
  3.  申請書の記入
  4. DX推進ポータルにアクセスし、申請する

認定結果は、申請受理後約60営業日以内にメールで通知されます。 認定有効期間は2年間であり、更新を希望する際には2か月前までに更新申請書を提出しする必要があります。
参照:経済産業省情報技術利用促進課 DX認定制度 申請要項



認定がゴールではない。DXの4つの階層

DX認定制度階層

DX認定を受けられれば、経済産業省のホームページなどに社名が記載され「DX認定事業者」になることができますが、実はここがゴールではありません。 認定を受けた段階では「DX-Ready」の状態となりその中から更にDX-Excellent企業・DX-Emerging企業の選定を行います。

DXーReady以前
DX認定されていない状態。ビジョンの策定や、戦略・体制等の整備に、これから取り組む事業者。

DXーReady
ビジョンの策定や、戦略・体制の整備等を既に行い、ステークホルダーとの対話を通じて、デジタル変革を進め、デジタルガバナンスを向上していく準備が整っているDX認定事業者。

DX-Emerging
認定事業者のうち、ステークホルダーとの対話(情報開示)を積極的に行っており、優れたプラクティスとなる(将来性を評価できる)企業を有識者審査委員会を開催したうえで選定。

DX-Excellent
DX-Emerging企業の中で、既にデジタルを活用し優れた実績をあげている企業が選ばれる。、優れたデジタル活用実績も既に現れている企業を選定。DX-EmergingとDX-Excellentについては、「DX銘柄」という制度の導入され経済産業省のホームページ で発表されます。

参照:経済産業省 事務局説明資料

DXを推進するための参考ツール

何をもってDX(デジタルトランスフォーメーション)とするか、その基準はとても広く、DXという言葉だけが独り歩きしている印象も覚えますが、肝心な部分はデジタル技術を使って顧客に対して会社が本来やりたかったことを実現すると言う事です。
最後にDX推進の参考になるツールを紹介したいと思います。

kintone

kintone(キントーン)は社内の顧客対応状況をクラウド上で管理し、社内共有できるクラウドサービスです。進捗状況や対応内容などをリアルタイムで更新でき、顧客情報にメモを残すこともできるため効率的に営業活動を行う事が出来ます。


MOT/TEL

「MOT/TEL(モッテル)」は、スマホを内線化し会社の電話番号で受発信できるクラウドPBXです。テレワーク、外出中でもスマホで会社番号から発着信が可能なため顧客に安心感を与えられます。対応状況などが表示されるCTI機能を使えば対応状況が蓄積され、最適な対応を行う事が出来ます。



DX認定を申請するか否かにかかわらず、適切なツールを導入し時代の変化に対応した働き方をしていきましょう。

日付: 2021/11/18
カテゴリー: DX|ブログタグ: ,
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