2023年3月28日
飲食店開業の際、物件探しをする中で「居抜き」と書かれた物件が見つかることもあるでしょう。
「居抜き」とは、造作や設備、什器など前テナントの利用していたものがついたままの物件のことを指します。
本記事ではこの「居抜き物件」に関して、メリット・デメリットに加え、注意点やスケルトン物件との違いなどについても解説していきます。
「居抜き物件」とは、造作や設備、什器など前テナントの利用していたものがついたままの物件のことを指します。
通常であれば店舗の借主は自ら物件へ取り付けたものを撤去したうえで、物件に取り付けたものをすべて撤去し、物件を何もない状況へ戻して貸主へ返却しなければなりません。
もし貸主の承諾があれば借主は内装や設備を残しつつ、後継者への引き渡しが可能となります。
こうした物件引き渡し方法を「居抜き」と言い、この居抜きで譲り渡される物件を「居抜き物件」と言います。
居抜き物件のメリットは以下の4点です。
①改装費・設備費の節約が可能
②工事期間の短縮が可能
③近隣住民の高い認知度から以前の顧客の取り込みが可能
④開業コストの回収が早めに可能
既存テナントの使用する内装や設備のそのままの利用が可能なため、改装や設備導入へかかる初期投資の減少が期待できます。
内装や設備などがそのままある程度そろうがゆえに、入居までの工事期間が短縮でき、開業までの賃料負担を最小限で抑えることが可能です。
もし以前飲食店をしていた居抜き物件に入居して、また飲食店をするというケースがあるとしたら、近隣住民は「また同じような飲食店が開く」と認知するでしょう。そうした際に「新しい飲食店も見ていこう」という風に前テナントの顧客が店に来店するケースも考えられます。
先ほどお伝えした通り、改装費・設備費へかかる節約が可能なため出店時にかかるコストが低いことが居抜き物件のメリットと言えます。
そのコストの低さゆえに、開業にかかったコストの早い段階での回収が可能になります。
開業のコスト回収がすぐに済めば、そこからサービスの向上努力や経営基盤の強化等への資金回しが可能となります。
一方、居抜き物件のデメリットは以下の3点です。
何かの理由が前店舗の閉店の裏にある
引き継いだ設備が劣化などで使用不能な場合有り
内装へのこだわりのあまり必要以上の出費になる
前のテナントの閉店の裏には、立地や集客、賃料の問題のほか、いわくつきな理由があることもあります。
閉店の裏には理由があることを想定し、居抜き物件を検討する際は様々な観点から注意深く「理由」を考えていくことが必要でしょう。
設備や什器について、居抜き物件では前の店舗のものを引き継ぐため、設備が劣化している場合があります。
したがって居抜き物件の場合、新たに飲食店として開業するには設備・内装の修繕や改装が必要で、予期せぬ費用を支払う可能性があります。
先述した通り、居抜き物件では前店舗の設備を引き継ぐため、飲食店のコンセプトに合わなかったり、内装を変える際に余計な設備の変更・撤去を余儀なくされることがあります。
居抜き物件に似た言葉で「スケルトン物件」というものがあります。
スケルトン物件とは、内装・設備を物件から取り除いて建物の骨組みのみとなっている物件のことです。
スケルトン物件では、
・天井も壁も無く、最初から店舗内レイアウトや内装工事が可能なため、開業したい店舗の通りに自由な設計が可能。
・新規設備の導入をする場合は取り扱い説明書・保証書がそろっており0からのスタートが可能で、設備のメンテナンス時期の把握ができるほか、保証期間内であれば費用をかけずに早期の修理が可能。
・賃貸物件の中ではスケルトン物件が最も多いため、開業したい店舗のコンセプトに有ったものを選ぶことが可能。
などのメリットがある一方で
・壁や天井の裏のコンセント配線と言った大がかりな内装工事だけでなく、空調整備工事のほか電気設備工事等から始める必要があり、工期の長期化が発生する。
・先述したような大がかりな工事を多数行う必要があるため、その分初期費用はかさむ傾向にある。
などのデメリットがあります。
前店舗の設備が残っている居抜き物件とは多くの部分で異なるため注意しましょう。
もし出店する地域が決まっているなら、その周辺を自分自身で歩き回ることも重要です。
その途中で、「テナント募集」のポスターを発見することもあるでしょう。
そうした空きテナントの発見に加えて、実際に街並みや人通り、競合店の有無や繁盛ぶりなどを自分の足で見て回ることで、たくさんの情報が得られます。
こうすることで、住民のライフスタイルについての情報も把握することができます。
自分自身で歩き回ることは、ネットで見つけた物件や不動産業者から提供された物件であっても必要です。
内覧会までの期間がある場合は、可能な限り早く現地を訪れることをお勧めします。
居抜き物件探しでは、飲食店を出店したい地域の不動産店を頼ることも重要な方法です。
不動産店ではその職業柄、マンションやビルオーナーとのパイプがある場合があります。
その関係を通してインターネットに出回る前の居抜き物件情報を得ることが可能です。
売る側は、不特定多数の顔も知らない相手に売るのでなく、信頼できる地元の不動産を仲介して売る方が安心できると考えていることが多いものです。
もし出店希望の地域が決まっているならその地域の不動産店に足を運び、よい居抜き物件が出たら教えてくれるようお願いし、こまめに連絡するようにすると競合よりも早く物件情報を得られるかもしれません。
居抜き物件を探す際に最もメジャーなのがインターネット検索です。
インターネット検索では膨大な量の物件を瞬時に検索できるほか、居抜き物件専門のサイトも数多くあるため簡単にできるのが利点です。
開業や出店の希望を持った場合は頻繁に
「希望業態(例: カフェ・居酒屋・バー等)+出店したい地名・地域+居抜き物件」
などの検索ワードでインターネット検索をかけることが重要です。
各地の家賃相場に加え、譲渡料相場の平均等についても理解できるほか、どんな物件を望んでいるかのイメージが明確になります。
多くのサイトでは会員登録によって、新しい情報の入りがあった際にお知らせメールが届くようになっています。
居抜き物件は「早いもの勝ち」のルールが基本のため、早く情報をキャッチできるようこまめなチェックを毎日しておくのが良いでしょう。
居抜き物件には往々にして、隠れたリスクがある場合が多いものです。
基本的には以下の二つが挙げられます。
店舗の賃貸借契約では契約解約の際に貸主側への6カ月前の通知が必要になります。
この期間は貸主が現テナントの営業中に次テナントを探すための期間として設けられたものです。
この間に「次のテナントが決まり次第解約する」という意図でテナント空き情報が流れることがあり、結局「解約しない」選択肢を前テナントが選ぶ場合が有ります。
したがって、居抜き物件では早い段階で情報が流れてくるものの、そうした情報の中にはこうした「本当に解約するかが不明」な情報も混じっていることがあるので注意が必要です。
居抜き店舗は、飲食店にとって冷蔵庫、食器洗浄機、シンクなどの水回り設備を利用できるという大きなメリットがあります。ただ注意しなければならないのは、「リース」に関することです。
厨房設備がリース契約である場合、リース残があるかどうかによって、厨房利用の形態が変わる可能性があるため、十分に確認する必要があります。
設備や内装など賃貸借契約に含まれないものを譲り渡すことを「造作譲渡」と言います。
この造作譲渡に関する契約書を「造作譲渡契約書」と言います
造作譲渡契約書を作成する場合、最も重要なことは造作物のリストに漏れがないかを確認することです。
リスト漏れの造作物は後々トラブルの原因となり得るため、入念な確認が必要です。また、造作物の数量と金額も細かく確認することも必要です。
さらに、物件所有者や貸主からの承諾を得ることも重要です。造作譲渡は所有者や貸主の承諾を得る必要があるため、契約書に明記しておくことが必要です。
造作物の中にリース品がある場合には、それらについても契約書に明記する必要があります。リース品を譲渡する場合には、支払い義務も移行するため、明確に契約書に記載しておきましょう。
また、故障している造作物についても契約書に明記することが必要です。修繕費用は誰が負担するのか、契約不適合責任についても明確にしておくことが重要です。
最後に、前借主と新借主が直接契約する場合には、物件所有者や貸主に一切の請求をしないことを明記しておく必要があります。
先述のデメリットの章でも触れたとおり、自分の開業したい飲食店と前テナントの居抜き物件は異なってくる場合が多いため、設備や内装の修繕・改修費用に大きなコストがかかってきます。
造作や設備が老朽化している場合、オープン後の故障が生じることがあります。
居抜き店舗の内部造作であれば、一度は利用されているためそれだけ新品よりも故障のリスクが有ります。
そのため前もって設備、特に冷蔵庫・食器洗浄機・製氷機などについては何年ほど利用しているかを確認し、現借主にメンテナンス・クリーニング業者を紹介してもらったりなど対策をすべきでしょう。
また、元のテナントの業態が異なっている場合、ホールでの接客の仕方やキッチンの調理の方法など飲食業務の動線に強い負の影響が発生することがあります。
時には、基盤となる給排水にガス管、電気設備などの配置変更を余儀なくされる場合もあるため、修繕・改修費に多大なコストがかかる場合があります。
不安な際は、店舗専門の設計施工業者等に内見時に同行をお願いするなどして設備面での気になる点について質問するとよいでしょう。
飲食店の開業において、最も重要であり、労力がかかるのは資金調達でしょう。
資金調達が計画通りに進まないと、
・希望の物件を逃してしまう
・開業までに時間がかかり、売上や収入が得られない
・多店舗展開に見合った資金調達が厳しい(数店舗分の与信枠が得られない)
など様々な問題を引き起こすことになります。
さらに、開業準備に自己資金の多くを費やしてしまうとキャッシュを手元に残すことができず、
仕入れなど運転資金への不安が生まれます。
こんな悩みをお持ちの方におすすめなのが、
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