2023年3月30日
「飲食店の開業を検討しているけれど、調理師免許を持っていないし…」と一歩踏み出せずにいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、飲食店の開業にあたって調理師免許は必要ありません。必須の資格はありますが、きちんと講習を受けること、必要な手続きを踏めば今からでも取得することは可能です。
当記事では、飲食店を開業するにあたって必要な資格や申請をご紹介します。
飲食店の開業時に取得が必要な資格です。飲食店のほかにも食品製造会社など、食品の衛生管理が必要な施設に1人設置が義務付けられています。資格取得者を「食品衛生責任者」として管轄の保健所に届け出る必要があります。
資格取得方法:
食品衛生責任者養成講習会への参加ほか
講習場所:
各地の食品衛生協会
講習内容:
衛生法規・公衆衛生学・食品衛生学の学習
費用:
6000~10,000円
受講時間:
6時間~1日
取得期限:
保険所へ飲食店営業許可申請を届け出る際に必要。開業の3か月前程度が目安
注意事項:
高校生の取得不可の可能性あり
資格は全国共通
食品衛生責任者になるための主な条件は以下の3つです。
※自治体により異なる場合があるため自治体の情報を調べてみてください。
・栄養士、調理師、製菓衛生師、ふぐ包丁師、食品衛生管理者等の資格を持っている者
・食品衛生責任者養成講習会の課程を修了した者
・その他、知事が食品衛生に関して同等以上の知識を有すると認めた者
多くの場合、の食品衛生責任者養成講習会へ参加することになるのではないでしょうか。「食品衛生責任者養成講習会」は各都道府県の食品衛生協会が開催している講習であり、公衆衛生学、衛生法規、食品衛生学などを6時間程度受講することで取得できます。講習会のあとには選択式のテストがありますが、難易度はそれほど高くないとされています。受講費は6,000円~1万円程度です。
保健所に「飲食店営業許可申請」を届け出る際に、講習会の受講後にもらえる「終了証」を一緒に提出します。営業許可をもらうために必要であるため、開業の3か月前くらいには取得することをおすすめします。1-2か月先まで講習会の定員が埋まっている可能性もあるため、早めに確認しておきましょう。コロナ禍を機にeラーニングでの取得方法も提供されているため、確認してみてください。
まず必須なのが、飲食店営業許可申請。管轄の保健所に申請を行います。営業許可にあたっては、厨房設備や手洗い、換気扇、食器棚など、設備に関する細かい決まりがあるため、工事着工前に基準に合致しているか管轄保健所の食品衛生担当に図面を持参して相談するのがおすすめです。
営業許可申請書を保健所に提出する際には、申請書の他に下記が必要です。
・営業設備の大要・配置図
・登記事項証明書(法人の場合)
・水質検査成績書(貯水槽・井戸水使用の場合)
・許可申請手数料(18,000円程度)
・食品衛生責任者の資格を証明するもの(食品衛生責任者手帳等)
※「酒類以外の飲物、または茶菓を客に飲食させる営業」の場合には喫茶店営業許可申請を行います。
申請書はこちらからダウンロード可能です。
申請後すぐに許可が下りるわけではないので、余裕を持って申請を行いましょう。工事完了の2週間から10日前が目安です。
申請後、保健所の担当者が店舗を訪れ、申請書の内容と実際に相違がないか検査を行います。設備の不備や虚偽の記載は再検査の対象となり、さらに時間がかかるため慎重に行いましょう。また、万が一営業許可が下りる前に営業を行うと食品衛生法により罰せられてることになります。オープンに間に合うよう、余裕を持った申請が重要です。
飲食店を開業する場合、防火に関する届け出は開業の7日前までに消防署に提出する必要があります。防火に関する規定は飲食店に限らずあらゆる事業形態に適用されるもので、届け出を怠ると罰則が科せられるほど厳格に取り扱われます。忘れずに届け出を行うことが重要です。こちらの届出書の書式・記入例は東京消防庁公式サイトより参照が可能です。
火を使用する設備や厨房などの一定基準以上の設備を設置する場合は、届出が必要となります。飲食店であれば、厨房や熱風炉、可燃性ガスまたは蒸気の発生する炉などが該当し、業態にかかわらず必ず届出が必要です。ただし、厨房を持たずにドリンクの提供のみを行う場合は、この限りではありません。届け出を怠ると罰則があるため、確実に届出手続きを行うようにしましょう。東京消防庁公式サイトから、届出書式のダウンロードが可能です。
飲食店を開業するにあたって、調理師免許は必須ではありません。食品衛生責任者の資格を同時に取得できること、顧客へのアピール・信頼を与えることなどメリットはありますが、必ずしも取得しなければならないものではありません。
調理師免許は、調理師法により都道府県知事が行う調理師試験に合格することで取得が可能です。名称独占資格と言われる国家資格であり、有資格者以外が調理師を名乗ると30万円以下の罰金が科せられます。
防火管理者とは、「多数の人が利用する建物などの「火災による被害」を防止するため、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務(防火管理業務)を計画的に行う責任者」を指します。収容人数が店舗スタッフを含め30名以上の店舗の場合は防火管理者を選任する必要があります。店舗区画の広さによって次のいずれかの講習を受講して修了試験に合格しなければなりません。
防火管理にかかる訓練及び教育、消防計画など、2日で約10時間の受講。8,000円。
甲種の基礎的な知識及び技能を1日約5時間で学ぶ。7,000円。
防火管理責任者選任届を、防災管理講習修了証(手帳)を添えて、2通管轄消防署又は消防出張所に提出します。
深夜0時以降にお酒を提供する場合には、通常の保健所の営業許可に加えて「深夜酒類提供飲食店営業」の届け出が必要です。これは店舗管轄の警察署へ提出します。提出の際には、店舗周辺の略図や店舗の見取り図、営業許可証・賃貸契約書のコピーなどが必要です。
深夜0時以降も酒類を提供する店舗では届出が必要ですが、ラーメン・牛丼などを中心に提供している店がビールなどを提供する場合は、必要ないとされています。明確な決まりや線引きはないため、必要書類も含め所轄警察署に問い合わせるのがおすすめです。無届で営業して悪質だとみなされると、最大6ヶ月の営業停止を命じられることもあるため必ず開業前に一度警察署へ相談しましょう。
火を使用する設備や厨房などの一定基準以上の設備を設置する場合は、届出が必要となります。飲食店であれば、厨房や熱風炉、可燃性ガスまたは蒸気の発生する炉などが該当し、業態にかかわらず必ず届出が必要です。ただし、厨房を持たずにドリンクの提供のみを行う場合は、この限りではありません。届け出を怠ると罰則があるため、確実に届出手続きを行うようにしましょう。東京消防庁公式サイトから、届出書式のダウンロードが可能です。
風俗営業許可は適用可能かの判断の難しい届出の一つで、「適用しないだろう」と思い営業してしまうことで警察から注意を受けることも多い、やっかいな届出です。適用可能かの判断項目は数多くありますが、その中で代表的なものとして、
・客の接待を実施し、遊興もしくは飲食を伴う営業の場合
・10ルクス以下の照度で営業をしている場合
・他から見通すことの難しい、5平方メートル以下の区画席を設置している場合
等があります。ネットカフェや漫画喫茶が例になると考えると分かりやすいでしょう。
こうした飲食店形態では、「区画性を設け見通しの難しい」席を設置していますよね。ただ、これでも「風営法」により0時以降の営業が困難になってしまう場合も存在します。となれば、ネットカフェとしての営業は難しいもの。これを回避し、深夜営業の実施のため、飲食の提供をやめるとすれば、飲食店ではなくなるがゆえに、飲食店の営業許可や風俗営業の許可も不要になります。ただ、そうすれば肝心の「飲食」からの収益が消えてしまい、痛手となってしまいます。警察関連の届出というのは、ネットカフェを一つ立ち上げるだけでもこのように難しい申請ですので、アルコール類などをさらに扱う場合には専門家へしっかりと相談することをおすすめします。
ケーキ屋、パン屋など菓子を製造する場合には、菓子製造業許可申請が必要です。カフェなどはこれに当たらず、テイクアウト業態の場合に必要とされています。
設備面で細かい基準が決められており、通常の飲食店よりも内装工事費が高くなる可能性もあるため事前に保健所に基準の確認を行いましょう。
個人事業主が飲食店を開業する際に税務署に提出します。開業から1ヶ月以内に、最高65万円の控除が受けられる「青色申告承認申請書」と併せて提出することをおすすめします。
アルバイトを採用した場合、雇用日から10日以内に労災保険に加入する手続きを行う必要があります。人数に関わらず、1人でも雇用した場合は必ず加入する必要があります。ただし、雇用形態や労働時間によっては、加入する保険が異なります。例えば、労働災害に備えての労災保険は、どのような雇用形態であっても必ず加入する必要があります。
雇用主は週の労働時間が20時間以上で、31日以上雇う予定の従業員がいる場合は、雇用保険に加入させる義務があります。加入手続きは、ハローワークを通じて行います。雇用形態によっては、加入が義務付けられていない場合もあるため、事前に詳細を確認することをおすすめします。
開業時に法人化した場合は、自営業者であっても社会保険への加入が義務付けられます。このため、従業員がいなくても必ず加入する必要があります。一方、個人事業主として開業している場合は、従業員を雇用しなければ社会保険に加入する必要はありません。ただし、従業員の福利厚生を考慮して任意で加入することも可能です。
飲食店の開業は、自身のキャリアや資金をかけて行う
人生のなかでも有数の決断であり、チャレンジとなることでしょう。
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