飲食店の売上予測の立て方 必要なデータと分析方法を解説

飲食店の売上予測の立て方 必要なデータと分析方法を解説

飲食店の経営の上で常に頭に置く必要があるのが「売上」です。
売上というのは、飲食店だけでなくあらゆる事業において、長期継続させるためには必要な指標となります。
売上の安定のためには、数値化をして予測する必要があります。
本記事では、飲食店の開業や運営の上で必要不可欠な「売上予測」の方法や重要な要素についてご紹介します。

目次
  1. 1. 売上予測とは
    1. ・データに基づく売上の詳細な予測データ
    2. ・売上目標との違い
    3. ・売上予測を正確に立てることの重要性
  2. 2. 飲食店の売上予測を立てる方法
    1. ・エクセルで予測する方法
    2. ・販売管理システムを利用する方法
  3. 3. 売上予測を立てる上で必要な要素4選
    1. ・客単価
    2. ・回転率
    3. ・客席数
    4. ・客席稼働率
  4. 4. より正確な売上予測を立てるためには
    1. ・従業員の能力把握
    2. ・素早く時間をかけずに計画的に
  5. 5. 売上予測を無料で相談できる場所

飲食店開業のために必要な4ステップについてはこちらで解説

売上予測とは

そもそも「売上予測」とは、具体的に未来の飲食店の売上をどう考えることなのでしょうか。

データに基づく売上の詳細な予測データ

データに基づく売上の詳細な予測データ

売上予測とは、あらゆるデータを基準として導き出される、将来の売上の詳細な予測データを指します。
基本的には、客数や稼働率等から分析を始めつつ、「どれほどの期間内でどれだけの売上を計上できるか」等について数値化する、飲食店経営時の経営・営業戦略を考える上で必要なデータの一つです。

基本的には、1週間・1ヵ月・1年単位で作成される場合が多く、数値化と同時にグラフ化やデータ化がされると売り上げ動向の可視化がされ、より簡単に分析が可能となります。

売上目標との違い

売上目標との違い

売上予測は、しばしば「売上目標」と共に同列で考えられていることが多いですが、売上目標は現在の実績を見て「希望する」売上の目標数値である点で異なります。

売上目標とは、あくまで経営者の感情・見込みから出てくるデータのため、正確さは異なってきます。
ただし、売上予測・売上目標共に飲食店経営の上では、経営戦略上・モチベーションの上で必要となってくるデータです。売上予測の設定と共に、両方とも作成する方が良いでしょう。

売上予測を正確に立てることの重要性

売上予測を正確に立てることの重要性

正確な売上予測を立てることは、飲食店経営において非常に重要です。
なぜなら、発注費や人件費の管理に直結するからです。
食材や調味料の適切な在庫管理を行うためには、正確な売上予測が必要です。
適当な予測を立ててしまうと、材料不足や余剰在庫の問題が発生する可能性があります。

同様に、従業員のシフト作成においても、正確な売上予測が重要です。
低回転率の時期に従業員を過剰に配置してしまうと、人件費が無駄になる可能性があります。
より正確な売上予測を行うことで、効率的な発注やシフト作成が可能になります。

売上予測を立てる上で必要な要素4選

売上予測を立てる上で必要な要素4選

基礎的な飲食店の売上予測を立てるためには、以下の4点のデータと計算式が必要です。
ちなみに、これはあくまで「1日分」の売上予測のため、1か月分の作成の際には「1日の売上予測×1カ月の稼働日数」で導き出すことが可能です。

売上予測を立てるために必要なデータと計算式
「 客単価 × 回転率 × 客席数 × 客席稼働率 = 売上予測」

売上予測の設定のためには上記4つのデータを使用しつつ、より深い理解があると正確な売上予測を立てることができます。

客単価

飲食店の客単価とは、1回の来店における1人あたりの支払い総額を指します。
たとえば、ハンバーグセット=1,000円とドリンク1杯=300円を注文した場合、客単価は1,300円となります。
客単価を上げる方法としては、メニューの価格を高めに設定することや、セットメニューを用意して1回の来店での支払い総額を上げることが挙げられます。
また、カップルや家族連れが注文する際の客単価をあらかじめ予測しておくことで、より正確な客単価を算出できます。

回転率

回転率は、飲食店の客席数に対するその席での食事回数の割合を表す数値です。
計算方法は1日の総客数を客席数で割ることで求められます。
例えば、全席10席の飲食店に1日で30組のお客様が来店する場合、回転率は来客数=30人を席の数=10で割ることで計3回転となります。

回転率を上げるためには、スタッフの業務効率化が必要です。例えば、注文やレジの対応をスムーズに行い、お客さんのサービスにも迅速かつ丁寧に対応することが必要です。
ただし、早く食事を終えてもらうことが目的ではありません。
お客さんのリピート率を上げるためにも、サービスの質を高め、お客様にとって快適な食事体験を提供することが重要です。

客席数

飲食店の客席数は、店内に設置された座席の合計数を表します。店舗の広さやレイアウトによって異なり、厨房と飲食スペースの割合が業種によって異なります。

カフェやバーは、通常飲食スペースが全体の80%を占め、居酒屋や酒場は70%、レストランや食堂は60%の比率であることが一般的です。
ただし、フード売上率が低い場合は、飲食スペースを広くすることで客席数を増やすことができます。
また、カウンター席やテーブル席の有無によっても客席数が変わるため、レイアウトにも注意が必要です。

客席稼働率

客席稼働率は、飲食店の座席がどれほど使用されているかを表す指標のことです。
この指標は飲食店の座席数と1つの席に座っているお客様の数によって大きく変わります。
計算方法は満席時のお客さんの数を座席数で割ることで算出できます。

例えば、4人掛けテーブルが3つで計12席ある場合、2・3・4人組のお客さんをそれぞれ座らせると、「9人 ÷ 12席」で0.75となり、客席稼働率は75%になります。

カウンター席のような1人用の席や、あるいは相席を許容する場合は、稼働率が100%になる可能性が高くなります。
経営する飲食店のサービスやターゲット層に合わせ、1つのテーブルがどの程度稼働するかを検討するとよいでしょう。

予想客数と客単価の把握をし売上予測を立てる

予想客数と客単価の把握をし売上予測を立てる

一週間の基準を基礎として、1カ月・1年単位で売上予測を立てることが飲食店経営では一般的とされています。

重ねて、定休日や営業時間を考えたうえで、実稼働時間の算出をすることが基本です。
これらのことから、「予想客数」と「一日あたりの客単価」から売上予測を算出する必要があります。

まず、
総客席数 × 回転率 × 客席稼働率
で予想客数を求めます。

例えば、
総客席数= 15席
ランチ回転率= 3回転
満席率=70%
なら
15 × 3 ×0.7 =32

で予想客数は32人です。
売上数値のすべてと関わる数字が客数の見立てとなるため、感情的な判断のない現実的数値を検討するとよいでしょう。

客数予測が現実の来客数とかけ離れていると、適切な施策や課題の検討・実施が不可能となります。
はじき出された数字がよろしいものでなくても、重要なことはその数字にどう向き合うかです。

予想客数を導き出したら、そのあとは客単価を設定することで必要な数字がそろいます。

客単価の算出方法は実際の過去データが存在すれば、そのまま引用すれば簡単に出せるでしょう。

さらにおすすめな方法として、来店予定のお客さんの客層を3種類で分類したのち、各客層に沿ったオーダーを決めたうえで金額の算出をし、考えていくものがあります。

学生2人 サラリーマン4人 女性3人組

など各お客さん層が具体的に何を頼んで、合計でいくらになるかを考えることが重要です。
このようにしてはじき出された客単価は平均客単価である可能性が高くなります。

あとは、計算してきた「予想客数」と「一日当たりの客単価」をかけ合わせれば、「一日の売上予測」が計算可能です。

これを1週間なら7倍に、1カ月なら30倍にとそれぞれの単位に合わせた計算も可能です。

飲食店の売上予測を立てる手段

飲食店で売上予測を立てる上ではどのようなツールを使うと効率化が図れるのでしょうか。
メジャーな方法としては以下の二つです。

エクセルで予測する方法

データの分析にはMicrosoftの「エクセル」を使うことが基本です。

エクセルには「予測シート機能」というものが備わっています。この機能では売上予測を既存のデータから引き出すことが可能です。
操作方法に関しては以下の通りです。

①毎月の売上データを入力しつつ、予測データの元データになる表を作成する。
②表を選択した状態のまま、「データ」タブの「予測シート」をクリックする。
③「予測ワークシート」というダイアログボックスが表示されて売上予測の確認ができます。

少量のデータのみから売上予測を立てる際やコストを削減したい場合はエクセルで十分と言えます。ただし、エクセルでは保存可能なデータ量に限りがあります。
データ量がもし膨大なら、次で紹介するSFA(営業支援システム)を使うといいでしょう。

ちなみにエクセルで売上予測を出す方法に関しては、NTT東日本のWebメディアであるBiz-Drive等でも解説がされています。

実際の売上の状況にエクセルに気象庁等から取ってきたデータをかけ合わせることで、「雨の日と晴れの日ではどちらの方が来客数が多いか」など、ここまで述べてきた以外の売上要因も考える方法が紹介されています。

SFA(営業支援システム)を利用する方法

SFA(Sales Force Automation)とは、営業部門で扱う情報またはプロセスを自動化し、管理・分析を行う業務効率化システムのことです。売上予測機能を搭載しているSFAも多数存在します。

SFAでは、基本的に大量のデータを扱う前提で構成されています。
必要なデータの取り込みのみで自動集計を行い、売上予測レポートを作成するため、分析手法を知らなくとも高精度の売上予測を立てることが可能です。

より正確な売上予測を立てるためには

より正確な売上予測を立てるためには

売上予測を立てるためにはいくつかポイントがあります。
ここでは以下の3つのポイントを紹介します。

収支計画を作成して目標値を定める

 収支計画を作成して目標値を定める

「収支計画」は、店舗のランニングコストなどの諸経費を把握しつつ、売上予測とかけ合わせることにより、具体的施策に数値目標達成案の検討を可能にする飲食店舗運営上の計画の一つです。

飲食店でかかる具体的な経費としては

・食材(飲み物も含む)原価
・人件費
・家賃
・光熱・水道費
・その他の経費(クレカ手数料・クリーニング代・通信費・備品代・雑費)

などがあり、これらの経費の総量を売上予測額よりも上回ってはなりません。
目安として、経費の割合は売上に比して55%が上限とされています。
収支計画を通して、売上予測を考えていくことは極めて重要なため、しっかりと検討するとよいでしょう。

従業員の能力把握

従業員の能力把握

売上予測を正確に立てるためには、従業員の能力の把握が必要になります。
調理やレジ対応に接待・配膳・片付けに掃除まで、飲食店の開業ではあらゆるタスクが存在します。
作業員の作業スピードに応じて回転率で変化が生じ、売上予測を立てる中で大変重要なデータとなります。

ピーク時の従業員の能力というのは、回転率の上昇に深く関連してきます。
能力を見誤れば、予測売り上げと結果との間で大きな損失に繋がりかねません。
能力を把握するためにも、日々の従業員の働きぶりについて観察しておきつつ、一人一人へ回転率の重要性を理解させるといいでしょう。

素早く時間をかけずしかし計画的に

飲食店の売上予測を立てる時は、時間を立てずに素早い立案が必要です。
時間をかけつつ売上予測作成をすると、予測データが古いものとなってしまいずれが生じます。
飲食業界では流行の変動のスピードが高速化し、データの変化が起きやすくなります。
データに正確性がない状態で予測を立てるのはいけませんが、売上予測を最新情報で立てるのも重要なため、スピード感のある計画的な売上予測をするとよいでしょう。

5. 売上予測の悩みを相談できる場所

コンセプトが決まった後でも開業準備は大変

飲食店の開業は、自身のキャリアや資金をかけて行う
人生のなかでも有数の決断であり、チャレンジとなることでしょう。

いざ開業準備を進めるなかで、

「事業計画書の書き方はこれでいいのかな」
「専門家に聞かないと分からないことがある」
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