防犯カメラの掲示は義務か|カスハラ対策の録音・録画とプライバシー保護の運用ルール

2026年8月19日

従業員のプライバシー保護と録音・録画の運用ルール|措置⑤の実務

「防犯カメラの掲示は義務ですか」──この質問への正確な答えは、多くの解説記事が書いているものとは違います。

個人情報保護委員会のQ&Aによれば、従来型の防犯カメラについては、カメラの設置状況等から利用目的が防犯目的であることが明らかである場合、利用目的の通知・公表は不要とされています。一方で、顔識別機能付きカメラシステムについては、通知・公表が必須です。外観から顔識別機能の使用を認識することが困難だからです。

2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法において、措置⑤は「プライバシー保護」と「不利益取扱いの禁止」の2項目で構成されます。カスハラ対策で記録を残す以上、この2つは避けて通れません。本記事では、守るべきプライバシーが3者に及ぶこと、録音・録画データの運用ルール5点、そして実務で判断に迷う3つの場面を、経営者・役員の方向けに整理します。

※本記事は2026年8月19日時点の公表情報にもとづいて作成しています。個別事案の法的判断については、弁護士等の専門家にご相談ください。

結論:カスハラ対策で守るべきプライバシーは「3者」に及びます

措置⑤とは、2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法において、事業主に義務づけられた「相談者等のプライバシー保護」と「不利益取扱いの禁止」の2項目です。カスハラ対策では録音・録画によって記録を残すため、守るべき対象は相談した従業員だけでなく、対応にあたった従業員、そして顧客本人にも及びます。運用の要点は、利用目的の特定、取得時の明示、アクセス権限の限定、保存期間の設定、目的外利用の禁止の5点です。とくに顔識別機能付きカメラを使う場合は、利用目的の通知・公表が必須になります。

措置⑤が求める2項目
⑨ 相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知する/⑩ 相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発する
守るべき対象は3者
① 相談した従業員/② 対応にあたった従業員(映像・音声に記録される)/③ 顧客本人(個人情報保護法の対象)
防犯カメラの掲示は義務か
従来型の防犯カメラは、設置状況等から防犯目的が明らかであれば、利用目的の通知・公表は不要とされています。ただし作動中である旨を入口等に掲示する措置を講じることが考えられる、とされています。
顔識別機能付きカメラの場合
通知・公表が必須です。外観から顔識別機能が用いられていることを認識するのが困難なためです。従来型と同じ扱いはできません。
運用ルール5点
利用目的の特定/取得時の明示/アクセス権限の限定/保存期間の設定/目的外利用の禁止

カメラの掲示については「防犯カメラの掲示は義務か」の章、判断に迷う場面は「実務で迷う3つの場面」の章で解説します。

📋 措置⑤の準備状況を点検したい方へ:指針の全10項目を条文根拠つきで確認できる「カスハラ対策義務化 対応チェックリスト(全19項目)」を無料でダウンロードいただけます。プライバシー保護と不利益取扱いの禁止も、それぞれチェック欄を設けています。

措置⑤が求める2つのこと

厚生労働省告示第51号の指針において、措置⑤は全10項目のうち項目9と項目10で構成されます。他の措置と比べると条文は短いのですが、措置④(記録・証拠の保全)と正面から衝突するため、設計を誤ると片方が成り立ちません。

項目 指針が求めること 実務でよくある不足
項目9 相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知する 録音・録画データを誰でも閲覧できる状態にしている。相談内容が担当部署の外に伝わっている。「必要な措置を講じた」ことを労働者に周知していない。
項目10 相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発する 規程には書いたが、現場に伝わっていない。「等」に何が含まれるか(事実確認への協力、対応の中断)を明示していない。

措置④と措置⑤の関係は、次のように整理してください。措置④は「記録を残せ」と求め、措置⑤は「残した記録を適切に扱え」と求めています。矛盾ではなく、順序です。記録を残さないことは措置④違反であり、残した記録を野放しにすることは措置⑤違反です。

実務としては、記録環境を導入する時点で運用ルールをセットで決めるのが唯一の解です。機器を先に入れて運用を後から決めようとすると、その空白期間に問題が起きます。措置④の詳細は悪質クレーマーへの対処と証拠保全をご覧ください。

守るべきプライバシーは「3者」に及びます

指針の条文は「相談者等」と書いていますが、カスハラ対策で録音・録画を行う場合、実際に保護の対象となるのは3者です。このうち②と③は見落とされがちです。

① 相談した従業員

指針が直接想定している対象です。誰が相談したか、どんな内容だったかを、対応に必要な範囲を超えて共有しないこと。相談者が特定される形で再発防止策を周知しないこと。相談内容にメンタルヘルスに関する情報が含まれる場合、個人情報保護法上の要配慮個人情報に当たり得るため、取扱いには特に注意が必要です。

② 対応にあたった従業員

最も見落とされる対象です。ボディカメラや店内カメラの映像には、顧客だけでなく対応した従業員の姿と声も記録されています。この映像が閲覧制限なく共有されれば、従業員は「常に監視されている」と感じます。カスハラから守るために導入した機器が、従業員の不信を生む構図です。閲覧できる者を限定し、それを本人たちに周知することが、導入の前提条件だと考えてください。

③ 顧客本人

個人情報保護法の対象としての側面です。特定の個人を識別できる映像は個人情報に該当します。利用目的の特定、目的外利用の禁止、第三者提供の制限といった法律上の義務が生じます。カスハラの加害者であっても、個人情報保護法上の権利は失われません。

②を軽視した導入は、必ず現場の抵抗に遭います。「誰が、どんなときに、どの映像を見られるのか」を先に決めて説明すれば、抵抗の大半は解消します。逆に、これを曖昧にしたまま機器だけ配ると、装着してもらえない、電源を入れてもらえないという事態になります。導入の成否はここで決まります。

防犯カメラの掲示は義務か|個人情報保護委員会Q&Aの正確な整理

実務で最も質問が多く、そして多くの解説記事が不正確に書いている論点です。個人情報保護委員会が公表しているQ&Aにもとづき、正確に整理します。

論点 従来型の防犯カメラ 顔識別機能付きカメラシステム
個人情報に
該当するか
特定の個人を識別できる画像を取得する場合、いずれも個人情報の取扱いに当たります。顔特徴データの抽出がない従来型でも同じです。
利用目的の
通知・公表
カメラの設置状況等から利用目的が防犯目的であることが明らかである場合、不要とされています。 必須です。設置されたカメラの外観等から、犯罪防止目的で顔識別機能が用いられていることを認識するのが困難なためです。
掲示の扱い 作動中である旨を、店舗や施設の入口、カメラの設置場所等に掲示する等の措置を講じることが考えられる、とされています。 掲示に加えて、顔識別機能を用いていることと、その利用目的を明示する必要があります。

出典:個人情報保護委員会「カメラに関するQ&A(『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&Aより抜粋)」

ここから導かれる実務上のポイントは2つです。

ひとつめ。「掲示しなければ違法」という単純な話ではありません。ただし、掲示しない積極的な理由もありません。掲示は法令対応であると同時に、それ自体が抑止力として機能します。カスハラ対策の文脈では、掲示は「やったほうがよい」ではなく「やるべきもの」と考えてください。

ふたつめ。顔識別機能を使う場合は扱いが変わります。AIカメラを導入する企業が増えていますが、顔識別機能を有効にしている場合、従来型と同じ運用では不足します。利用目的の通知・公表が必須になるため、導入時に「顔識別機能を使うのか、使わないのか」を明確にし、使う場合は掲示文言を変える必要があります。この論点を整理せずに導入している企業が少なくありません。

なお、カスハラ対策の文脈でカメラを使う場合、利用目的は「防犯」だけでは足りない可能性があります。「従業員の就業環境の確保」「カスタマーハラスメント事案の事実確認」を利用目的に含めておくことを推奨します。規程第6条第2項で利用目的を限定列挙するのは、このためです。

録音・録画データの運用ルール5点

規程に書き、実際に運用すべき5点です。この5点が決まっていない状態で機器を導入すると、措置⑤違反のリスクを抱えたまま運用が始まります。

ルール 決めるべき内容
1. 利用目的の特定 何のために取得するのかを具体的に定めます。「従業員の就業環境の確保、カスハラ事案の事実関係の確認、および法的対応のため」のように限定列挙してください。「その他当社が必要と認める目的」のような包括条項は、目的の特定として不十分です。
2. 取得時の明示 店頭掲示、自動音声案内、カメラ本体への表示など、認識できる形で示します。顔識別機能を用いる場合は、その旨と利用目的の通知・公表が必須です。電話は「通話を録音させていただきます」の自動音声が実務上の定番です。
3. アクセス権限の限定 閲覧できる者を、相談窓口の担当者と判定を行う本部の担当者に限定します。閲覧した記録(誰が・いつ・どの事案で)を残す運用にしてください。現場の管理者が自由に閲覧できる状態は避けます。
4. 保存期間の設定 事案の終了後の保存期間を規程で定めます。あわせて「法的措置を検討している事案については、当該手続が終了するまで保存する」という例外を規定しておくと、実務が回ります。期間経過後の削除も、ルールとして決めておきます。
5. 目的外利用の禁止 定めた利用目的以外に使わないことを明記します。従業員の勤務態度の評価、業務効率の分析、研修教材への転用は、いずれも当初の目的から外れる可能性があります。必要な場合は利用目的を追加し、改めて明示してください。

5点のうち、実務で最も揉めるのが3(アクセス権限)です。「本部だけが見られる」という設計にすると現場から不便だと言われ、「店長も見られる」にすると従業員から監視だと言われます。判断の基準は、閲覧の目的です。カスハラ事案の確認のために見るのであれば、判定を行う本部側に限定するのが筋が通ります。現場の運営改善のために見たいのであれば、それは別の利用目的なので、改めて特定し明示する必要があります。

実務で迷う3つの場面

運用を始めると、必ず判断を求められる3つの場面があります。事前に方針を決めておけば、現場が止まりません。

場面1|カスハラの映像を社内研修の教材に使ってよいか

実際の映像は研修教材として効果的ですが、当初の利用目的(事実確認・法的対応)から外れます。目的外利用に当たる可能性が高いと考えてください。

どうしても使いたい場合の選択肢は2つです。ひとつは、利用目的に「従業員研修」を含めたうえで、取得時に明示すること。もうひとつは、個人が識別できない形に加工すること(顔と音声を処理し、特定の個人を識別できない状態にする)です。後者であれば個人情報には該当しなくなります。

なお、映像には対応した従業員も映っています。その従業員が研修で自分の対応を晒される形になることへの配慮も必要です。本人の同意を得るのが実務上は無難です。

場面2|要注意顧客の情報を店舗間・グループ会社間で共有してよいか

現場からの要望が非常に多い論点です。整理すると次のようになります。

同一法人内の店舗間での共有は、第三者提供には当たりません。法人が同じであれば「第三者」ではないためです。ただし、当初特定した利用目的の範囲内である必要があり、また社内であっても閲覧範囲は必要最小限にすべきです。

グループ会社など別法人への提供は、第三者提供に当たります。原則として本人の同意が必要です。カスハラの加害者から同意を得ることは現実的でないため、共有には慎重な検討が必要になります。この点は業界団体や自治体の取組の状況も踏まえ、弁護士に確認したうえで方針を決めてください。

実務上の落としどころとしては、個人を特定する情報(氏名・顔写真)を共有するのではなく、行為の態様と対応方針を共有するという形が考えられます。「このような要求が来た場合はこう対応する」という運用ルールの共有であれば、個人情報の提供には当たりません。

場面3|警察や弁護士に映像を渡してよいか

措置④の段階5・6(警察への通報、法的措置)に進む場合に必ず生じる場面です。

個人情報保護法は、第三者提供の制限に例外を設けており、法令に基づく場合や、人の生命・身体・財産の保護のために必要で本人の同意を得ることが困難な場合などが挙げられています。捜査機関からの照会や、従業員の安全を守るために必要な場合は、これらの例外に当たり得ると考えられます。

ただし、「渡してよいかどうか」の判断を現場に委ねないでください。提供の可否は本部で判断し、提供した記録(提供先・提供日・提供した範囲・根拠)を残す運用にしてください。委任した弁護士への提供についても、同様に記録を残します。

なお、この論点は個別の事情によって結論が変わり得ます。実際に提供する場面では、弁護士に確認したうえで判断することを推奨します。

📄 運用ルールを規程に落とし込む方へ:カスハラ対策規程のひな形【全8条の条文例】では、第6条(記録および証拠の保全)で利用目的・明示方法・保存期間を、第8条でプライバシー保護と不利益取扱いの禁止を条文化しています。あわせてご覧ください。

不利益取扱いの禁止|何が「不利益」に当たるか

措置⑤の項目10です。規程に一文書くだけで済ませている企業が多いのですが、「何を理由とする」「何が不利益か」を具体化しないと、現場では機能しません。

論点 具体化すべき内容
何を理由とする
不利益が禁止か
① カスハラに関する相談を行ったこと/② 事実関係の確認に協力したこと/③ 危険を感じて対応を中断・退避したこと。③まで明記している企業はほとんどありません。ここを書かないと、現場は退避をためらいます。
何が「不利益」に
当たるか
解雇、雇止め、降格、減給、不利益な配置転換といった処分だけではありません。人事評価での減点、シフトの削減、教育機会からの排除、職場での孤立を招く言動も含まれ得ます。事実上の不利益まで射程に入れて周知してください。
誰に周知するか 相談する側の従業員だけでなく、評価権限を持つ管理監督者にこそ周知が必要です。管理職研修に組み込んでください。

実務上、最も重要なのは③(対応の中断・退避)です。従業員が危険を感じてその場を離れる判断をしたとき、それが後から「勝手に持ち場を離れた」と評価されるのであれば、誰も退避しません。規程で退避の権利を認め、それを理由とする不利益取扱いを明示的に禁止してください。規程ひな形の第4条第3項と第8条第2項が、この組み合わせに対応しています。

プライバシー保護と記録の両立|機器選定で見るべき点

措置④(記録を残す)と措置⑤(適切に扱う)は、機器の選定段階で両立させておくのが最も確実です。導入後に運用でカバーしようとすると、無理が出ます。選定時に確認すべき点を整理します。

アクセス権限を機器・システム側で制御できるか

「運用で気をつける」では守られません。閲覧できるアカウントを設定で制限でき、閲覧ログが残る仕組みであることを確認してください。運用ルールを技術で担保できると、措置⑤の説明が容易になります。

保存期間を事案ごとに設定・延長できるか

一律の自動削除しかできない機器では、「法的措置を検討している事案は手続終了まで保存」という運用ができません。該当区間を切り出して個別に保存できることが実務上の要件になります。

顔識別機能を使うか使わないかを選べるか

顔識別機能を使う場合、利用目的の通知・公表が必須になります。機能をオフにして運用する選択肢があるか、使う場合に必要な掲示の要件は何かを、導入前に確認してください。後から気づくと、掲示物の作り直しになります。

装着者(従業員)への説明がしやすい仕組みか

ボディカメラの場合、常時録画か、必要な場面で起動する方式かによって、従業員の受け止めが大きく変わります。「いつ録画されているかが本人に分かる」設計であれば、監視への懸念は下がります。導入説明の負担そのものが変わる論点です。

カスハラ対応チェックリスト
⚠️ 2026年10月1日の施行まで残り約1か月半

記録を残すことと、
適切に扱うことはセットです

記録を残さなければ措置④違反、残した記録を野放しにすれば措置⑤違反。
両立できているかを、19項目で点検してください。

無料資料「カスハラ対策義務化 対応チェックリスト(2026年10月版)」収録内容

✓ 対応チェックリスト全19項目(条文根拠・担当部門・記入欄つき)
✓ 義務項目と対策手段の対応表
✓ 補助金・奨励金ガイド(東京都 定額40万円/名古屋市 上限30万円)
✓ 施行日までの逆算スケジュール

形式:PDF/全14ページ 厚生労働省告示第51号 準拠

📋 チェックリスト全19項目を無料ダウンロード →

※ 入力5項目・約30秒。ご記入のメールアドレス宛にダウンロードURLを自動送信します

📹 アクセス権限・保存期間の設定まで含めて相談したい方へ:当社のボディカメラは、閲覧権限の制御と該当区間の個別保存に対応しています。カスハラ対策ボディカメラの機能・導入事例を見る/店内の常設カメラについてはAIカメラのページをご覧ください。

よくある質問(従業員のプライバシー保護)

Q. 防犯カメラの掲示は法律上の義務ですか?

従来型の防犯カメラについては、カメラの設置状況等から利用目的が防犯目的であることが明らかである場合、利用目的の通知・公表は不要とされています。ただし、作動中である旨を入口等に掲示する措置を講じることが考えられる、とされています。一方、顔識別機能付きカメラシステムについては、通知・公表が必須です。外観から顔識別機能の使用を認識するのが困難なためです。

Q. カスハラ対策で使う場合、利用目的は「防犯」でよいですか?

不足する可能性があります。事実確認や法的対応に使うのであれば、その旨を利用目的に含めておくべきです。「従業員の就業環境の確保、カスタマーハラスメント事案の事実関係の確認、および法的対応のため」のように限定列挙することを推奨します。

Q. 従業員から「監視されているようで嫌だ」と言われました。

閲覧できる者と閲覧の場面を限定し、それを本人たちに周知してください。「誰が、どんなときに、どの映像を見られるのか」が明確であれば、懸念の大半は解消します。あわせて、記録の目的が従業員を守ることであり、勤務態度の評価には使わないことを明示してください。これは目的外利用の禁止として規程に書ける内容です。

Q. 撮影した映像を社内研修に使ってもよいですか?

当初の利用目的(事実確認・法的対応)から外れるため、目的外利用に当たる可能性が高いです。使う場合は、利用目的に「従業員研修」を含めて取得時に明示するか、個人が識別できない形に加工してください。映像に映っている従業員本人への配慮も必要です。

Q. 要注意顧客の情報を、グループ会社と共有してもよいですか?

別法人への提供は第三者提供に当たり、原則として本人の同意が必要です。実務上の落としどころとしては、個人を特定する情報ではなく、行為の態様と対応方針を共有する形が考えられます。具体的な運用については弁護士にご確認ください。なお、同一法人内の店舗間での共有は第三者提供には当たりませんが、閲覧範囲は必要最小限にすべきです。

Q. 「不利益取扱いの禁止」は、具体的に何を禁じているのですか?

相談したこと、事実確認に協力したこと、そして危険を感じて対応を中断・退避したことを理由とする不利益な取扱いです。解雇や降格といった処分だけでなく、人事評価での減点、シフトの削減、教育機会からの排除といった事実上の不利益も含まれ得ます。評価権限を持つ管理監督者への周知が特に重要です。

まとめ:記録を残すことと、適切に扱うことは同時に設計する

措置⑤が求めるのは、プライバシーの保護と、不利益取扱いの禁止の2つです。カスハラ対策で録音・録画を行う以上、守るべき対象は相談した従業員だけでなく、対応にあたった従業員と、顧客本人にも及びます。とくに②を軽視した導入は、必ず現場の抵抗に遭います。

カメラの掲示については、正確に理解してください。従来型の防犯カメラは、防犯目的が設置状況等から明らかであれば利用目的の通知・公表は不要とされていますが、顔識別機能付きカメラシステムは通知・公表が必須です。そして、カスハラ対策に使うのであれば、利用目的に「就業環境の確保」「事実確認」を含めておく必要があります。

運用ルールは5点──利用目的の特定、取得時の明示、アクセス権限の限定、保存期間の設定、目的外利用の禁止。この5点は、機器を導入する時点でセットで決めてください。後から運用でカバーしようとすると、その空白期間に問題が起きます。

最後に、措置④と措置⑤の関係をもう一度整理します。記録を残さないことは措置④違反であり、残した記録を野放しにすることは措置⑤違反です。矛盾する要求ではなく、順序のある要求です。両方を満たして初めて、従業員を守る体制が完成します。

📋 義務化対応チェックリスト(全19項目)

5つの措置を、一枚で点検してください

弊社作成の「カスハラ対策義務化 対応チェックリスト(2026年10月版)」には、本記事で解説した措置⑤(プライバシー保護・不利益取扱いの禁止)を含む全19項目を、条文根拠・担当部門の目安・記入欄つきで収録しています。

□ 録音・録画データのアクセス権限(措置⑤)

閲覧できる者が限定され、閲覧した記録が残る運用になっていますか?
→ 誰でも見られる状態は、従業員の不信を招きます。

□ 退避を理由とする不利益取扱いの禁止(措置⑤)

危険を感じて対応を中断したことを理由に、不利に扱わない旨を明示していますか?
→ 書いていなければ、現場は退避をためらいます。

残り17項目のチェックリストに加え、義務項目と対策手段の対応表、補助金・奨励金ガイド(東京都 定額40万円/名古屋市 上限30万円・10月30日締切)、施行日までの逆算スケジュールを収録しています。

形式:PDF/全14ページ 厚生労働省告示第51号「カスタマーハラスメント防止指針」(2026年2月26日告示)準拠

📋 チェックリスト全19項目を無料で受け取る →

※ 入力5項目・約30秒。ご記入のメールアドレス宛にダウンロードURLを自動送信します

関連記事

出典:厚生労働省告示第51号「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(2026年2月26日告示)/個人情報保護委員会「カメラに関するQ&A(『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&Aより抜粋)」/個人情報保護法


投稿日: 2026年08月19日、
カテゴリー: #aiカメラ
AI防犯・監視カメラ
AI防犯・監視カメラ
運営:株式会社バルテック
特徴1
不審者の検出やセキュリティ対策に
特徴2
AIだから自動で検知しアラート
特徴3
転倒、侵入などをAIが検知
特徴4
人手不足の工場、工事現場、学校などカメラが見守り
特徴5
バス内での置き去りや指定場所の持ち去りも検知
#防犯カメラの掲示は義務か|カスハラ対策の録音・録画とプライバシー保護の運用ルール